「480万以下」でV8スポーツに乗りたい! コルベットにサンダーバード 英編集部が選ぶ旧車10台(1)

公開 : 2024.03.23 17:45

トライアンフTR8/TR7 V8(1975〜1981年)

かつてのブリティッシュ・レイランドによる不器用な経営と、1970年代の英国を襲った自動車業界の混乱に揉まれ、晩年のトライアンフは望ましいモデルを残すことができなかった。

それでも、V8エンジンを搭載し1978年から提供されたTR8は、魅力的なクラシックカーとして生き残っている。ハリス・マン氏によるウェッジシェイプのスタイリングは、今でも新鮮。ローバー社製の3.5L V8エンジンは、控えめな139psを発揮する。

トライアンフTR8(1978〜1981年)
トライアンフTR8(1978〜1981年)

一段高くなったボンネットは、大きなエンジンを収めることの証。サスペンションは強化され、豊かなサウンドとともに発生する不足ないパワーを手懐けられる。ちなみに、その先代、TR7にも同じV8を搭載したTR7 V8が存在した。

TR8の生産数は、2715台。オリジナル状態を見つけることは英国でも難しい。TR7 V8の方が、低めの価格で取引されている。ブランドを得意とするガレージで、直列4気筒のTR7がV8エンジンへ換装された例も存在する。

望ましい状態の例を発見できれば、偉大なスポーツカー・ブランドの遺作が、素晴らしい体験を与えてくれるはず。過小評価されているロードスターだといえる。

フォード・サンダーバード Mk1(1955〜1957年)

フォードは、初代シボレーコルベットの発売直後のつまずきで、重要な教訓を得た。アメリカン・スポーツカーには、デトロイト水準の快適性が必要で、6気筒エンジンでは不充分だと。

そのため初代フォード・サンダーバードには、取外し可能なハードトップと、開閉可能なサイドウインドウが備わり、オプションでオートマティックも用意された。ボンネット内には、サンダーバード292(Yブロック)と呼ばれるV8エンジンが納まった。

フォード・サンダーバード Mk1(1955〜1957年)
フォード・サンダーバード Mk1(1955〜1957年)

2シーターのオープンで、プロポーションはロー&ワイド。4.8LのV8エンジンは、期待通りのドロドロというサウンドを奏でる。0-97km/h加速を約10秒でこなす、1950年代半ばとしては悪くない動力性能も備わっていた。

ただし、ボディは軽量なFRPではなくスチール製。スポーツを名乗るほど機敏とはいえなかった。そこでフォードは、「パーソナルカー」として売り出している。

1958年には2代目が登場。ボディは大きくなり、4シーターへキャビンは拡大され、オープン・グランドツアラー的な要素が強くなった。スポーティな雰囲気を味わいたいなら、初代が望ましいだろう。

2万5000ポンド(約472万円)の予算を準備すれば、納得できるコンディションの1台を英国では探せる。備わるオプションは限定的かもしれないが。

この続きは、V8スポーツ 英編集部が選ぶ旧車10台(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 撮影

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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