ランドローバー・ディスカバリー・スポーツSE

公開 : 2014.12.08 23:40  更新 : 2017.05.29 19:17

エンジニア氏いわく、雑味のない操舵フィールは新設計のサスペンションのジオメトリーに大きく影響を受けているとのこと。決して小さいクルマではないけれど、イヴォークよりも簡単に舵取りができ、身のこなしも引き締まっているように感じた。

オフローダー特有のふわふわとした乗り味ではないのは、’スポーツ’ という言葉がモデル名に含まれるからなのだろう。ただし無粋な振動を伝えてくることはなく、安心できる落ち着きがある。ベルギーの舗装路から、デンマークの泥濘に侵入してみた際も、気持ちが萎えてしまうような乗り心地の悪さは一切なかった。

だからといって、そう頻繁に荒れた路面に突っ込むようなことはない、という多くのユーザーのことも配慮し、市街地での乗り心地もおざなりにしていない。快適性を高いレベルで実現するとともにフリーランダーやイヴォークよりもトラクションやオフロード上の能力も高めている点はさすがである。

また九十九折におけるマナーもかなりのもので、車高の高さに悩まされることはなく、コーナリング時の粘り強さはSUVを超えたところにある。限界点ちかくではアンダーステアの傾向が顔を出し始めるが、ボディ・ロールの小ささのおかげで、自分の思ったラインをトレースすることができる。クイックなステアリングによる敏捷性にも思わずニヤリとしてしまったほどだ。

■「買い」か?

少しだけ文句を言うとしたら、SD4エンジンが槍玉に挙げられることになる。粗野な低速域のマナーと燃費、CO2排出量はBMW X3に肩を並べるレベルには到達していない。よってビジネスでの使用を考えているならば、もう少し待ったほうがいい。

またイヴォークという大きな存在とどのように差別化を図るかなどといった問題も残ってはいるが、美しさ、実用性、楽しさ、洗練性によってこのクラスの平均的な実力をグッと高めたことは確かだ。

加えてインフォテイメント・システムやオフロード性能などをこれまで以上に突き詰めたことにより、オールラウンダーと呼ぶに相応しい実力を一挙に手にした。よって買いだ。

(スティーブ・クロプリー)

ランドローバー・ディスカバリー・スポーツSE

価格 £34,195(641万円)
最高速度 188km/h
0-100km/h加速 8.4秒
燃費 15.9km/ℓ
CO2排出量 166g/km
乾燥重量 1863kg
エンジン 直列4気筒2179ccディーゼル
最高出力 190ps/3500rpm
最大トルク 42.9kg-m/1750rpm
ギアボックス 9速オートマティック

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