走りを楽しめ家族で遊べる ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ(2) 一線を画す走破性

公開 : 2025.05.21 19:06

初代が築いた地位を、一層強固にした2代目 小変更でシンプルになったダッシュボード周り 大きな強みの実用性 家族での遠出も不満なしの動力性能 全般的に良好な乗り心地 UK編集部が試乗

家族4名での遠出も不満なしの動力性能

小変更を受けた、2代目ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ。D200は、2.0L 4気筒ディーゼルターボのマイルド・ハイブリッドで、203psと43.7kg-mを発揮する。これだけあれば、家族4名での遠出やキャンプでも、まったく不満はないだろう。

0-100km/h加速は8.3秒で、鋭いダッシュを披露するとまではいえないものの、充分な余裕を感じさせる。クルーズコントロールはシームレスに機能し、高速道路での安心感へ大きく貢献。高い速度域でも、エンジンが気張っている様子は感じられない。

ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ(英国仕様)
ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ(英国仕様)

ただし低速域では、やや荒めのエンジンノイズが響き、9速ATの変速がぎこちなくなる場面も。高速道路での追い越し時は、最適なギア選びに若干もたつく印象があった。

プラグイン・ハイブリッド、P270eの洗練度は高い。エンジンとモーターがシームレスに切り替わり、軽快な加速を披露する。3気筒ガソリンターボのノイズは耳に届くが、静かな風切り音や転がり音の印象を、削ぐほどではない。

マイルドな操縦性 乗り心地は全般的に良好

操縦性は、ランドローバーらしいマイルドなもの。ステアリングのレシオはスロー気味で、同クラスのSUVで比較しても、機敏な回頭性を見せるわけではない。

それでも乗り心地は全般的に良好で、速めの流れに合わせた、流暢な移動を叶えてくれる。高速道路の速度域では、乗り心地はしっとり上質。カーブでのボディロールは小さくないものの、傾きは節度あるもの。高められた悪路性能との、引き換えといえる。

ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ(英国仕様)
ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ(英国仕様)

速度域の低い市街地では、若干路面の凹凸を拾い気味。強めの揺れが伝わる場合もある。車重が重くなるプラグインHVでは、その傾向が強いようだ。

積極的にワインディングを走らせると、オールシーズン・タイヤのグリップ力が物足りなくなるが、四輪駆動システムが挙動をなだめてくれる。アクセルペダルやステアリングホイールの重み付けは調和しており、全体的な運転体験は好ましい。

ライバルと一線を画す悪路での走破性

アダプティブダンパーを組むことも可能で、コンフォート・モード時は路面の不正を見事に均してくれる。とはいえ21インチ・ホイールを履くと、鋭い入力を抑えることは難しいようだった。

オフロードでの走破性は、深いデパーチャー(リア側)とブレークオーバー(ホイールベース間)のアングルが担保。最大渡河水深は600mmあり、ライバルと一線を画す。

ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ(英国仕様)
ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ(英国仕様)

燃費は、P270eのカタログ値で65.6km/L。こまめに駆動用バッテリーを充電すれば、この数字に届くかもしれないが、充電が切れると3気筒エンジンの負荷は大きく増えてしまう。

D200では14.1km/Lがうたわれ、現実的に達成することは難しくない。マイルドHVとして、もう少し伸びても良いとは思うが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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