気取らないゴルフ的:フォルクスワーゲンID.3 反発意見も多い:テスラ・モデル3 カッコだけじゃない:ルノー・メガーヌ E-テック お手頃EV 12台比較(3)

公開 : 2024.04.17 19:05

扱いにくいウインカー・ボタン

このウインカー・ボタンは、静電気によるタッチセンサー・タイプ。ステアリングホイールを切ると一緒に回るため、手元を見ずにウインカーを出すことが難しい。スイッチの正しい場所を押さない限り、点灯することもない。

ロータリー交差点や、緩やかなカーブでの車線変更時には、どうしてもウインカーの操作へ気が取られてしまう。正解のインターフェイスとはいえないだろう。

手前からテスラ・モデル3 RWDと、ルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリック EV60 テクノ+
手前からテスラモデル3 RWDと、ルノーメガーヌ Eテック・エレクトリック EV60 テクノ+

ワイパーやクルーズコントロールの操作、ドアミラーの角度調整などはタッチモニターを介するが、それも理想的ではない。危険を感じることはなかったが。

また雨天などでカメラのレンズが汚れると、パーキングセンサーが機能しなくなってしまう。そんな日は、視界が悪くなりがちなのだが。

英国では4万ポンド(約756万円)を切る価格から提供されているが、ホイールとインテリアを自分好みにし、ホワイト以外の塗装を指定すると、4万3890ポンド(約829万円)と予算オーバー。今回の基準で選ぶなら、ベースグレードで素の状態に限られる。

5位:ルノー・メガーヌ E-テック・エレクトリック 目を引く容姿だけじゃない

バッテリーEVへのシフトが始まって以来、クルマのスタイリングは大きく変化した。駐車場でルノー・メガーヌ E-テック・エレクトリックを目にした時、強くそう感じた。ボルボEX30を見た時のように。

メガーヌ E-テックは初見ではないが、今回の12台の中では、特に存在感が強かったといっていい。審査員の多くは、運転体験も称賛していた。長めに運転する機会があった筆者も、見た目だけではない、有能なバッテリーEVだと確信することができた。

ルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリック EV60 テクノ+(英国仕様)
ルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリック EV60 テクノ+(英国仕様)

最も際立つのが、ロードマナー。スポーティなハッチバックではないが、乗り心地はしなやかで快適。長距離移動でその特長が輝く。

見た目重視といえそうな、20インチのアルミホイールを履いていても、サスペンションは路面の凹凸を巧みに均す。車内へ伝わるロードノイズは最小限。風切り音も小さい。

インテリアのレイアウトも、しっかり考えられている。実際に押せるハードボタンは少ないものの、驚くほどではない。環境への配慮から、ステアリングホイールには合成皮革が、シートやダッシュボードにはクロスが用いられているが、適度な高級感もある。

インフォテインメント用とメーター用、2面のモニターは、スマートな雰囲気を生んでいる。グラフィックも美しい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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