レクサスRC F

公開 : 2015.01.16 23:50  更新 : 2017.05.29 19:24

鼻先をエイペックスに向けてからの姿勢調整も、スロットル・レスポンスに慣れてしまえばアクセル操作だけで可能だ。オプションのトルク-ベクトリング・デフが優れたバランスに磨きをかけているのも明らかだ。

BMW M4ほどの直感性や驚くほどのシャープネスに欠ける、という記事をあらゆる媒体で目にした向きも少なくないかもしれないが、これはフロント・エンドのグリップが足りないことと、ボディ・コントロールにもたつきがあることが原因なのだろう。

ステアリングも、あまり満足できるものではない。日常使用における反力には不満はないのだが、ミドル・コーナー時の一貫性に欠けるゆえ、このレベルのクルマに求める安心感をもたらさないのだ。

RC Fのスペック・シートから期待する、際立ったパフォーマンスを考えるとダイレクト感が足りず、自信をもって事を運べないのは、穏やかすぎるステアリング・フィールのトレードオフである。

と、ここまで厳しいことを書いたけれど、RC Fの乗り心地は特筆すべきレベルにある。英国の悪路でそう感じるのだから、おそらく他のどんな道でもこの素晴らしさを味わえるだろう。

たしかにエッジが立ったバンプの上では安定感を失いことはたしかにある。それにミドル・コーナーに刻まれた轍を踏み越えれば、アシの硬さゆえに、他ライバルと同様にESPのライトが(苛立たしく)フラッシュ点灯することが多い。

けれども、大部分のシチュエーションにおいては驚くほど鷹揚に凹凸をいなしてくれる。高速道路などにおける低回転域では、他ライバルが追従し得ないほど静かなエンジンと相まって、思わず ”バンザイ!” と叫びたくなるほど快適だ。

インテリアもまた賞賛すべき点のひとつ。シートの柔らかさには文句なく、シートバック底部のサポート性も豊かだ。長距離でなければ、身長が高すぎない限り、2名の大人が後部座席に座れるのも嬉しい。

高い位置にセットされた衛星ナビゲーション・システムをコントロールするタッチ感応型のパッドは扱いづらさを感じるものの、ダッシュボードのデザインをISのそれときちんと差別化しているのは好印象だ。

それぞれの素材の組付けには安心感があり、各ダイアルを始めとする先進的なパーツと、触り心地のいい柔和なパーツの融合の巧さはレクサスならではのもので、レイアウトに使いづらさを感じることもなかった。

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