最近のレクサスってどうですか?RCF編【日本版編集長コラム#45】

公開 : 2025.08.31 11:45

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、『日本版編集長コラム』です。最近乗ったクルマの話、取材を通じて思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第45回は、1ヵ月ほどかけて5台を一気乗りしたレクサスの話、その3回目です。

昭和40年代男にかなり響く

ご縁あってレクサスの現行モデル5台を、約1ヵ月で一気乗りした話。前回までの3台に続いて乗ったのは、『レクサスRCFファイナルエディション』である。

こちらは8月28日に公開した、渡辺敏史さん執筆による自然吸気5L V8『2UR-GSE』をテーマとして記事でも登場している(下段のリンクからご覧ください)。実は今回の一気乗りを渡辺さんにお話ししたところ、『2UR-GSEは名機だ!』と盛り上がり、企画に繋がったのであった。

今回の取材車は『レクサスRCFファイナルエディション』で、その名の通り最終モデル。
今回の取材車は『レクサスRCFファイナルエディション』で、その名の通り最終モデル。    平井大介

RCFに搭載される自然吸気の5L V8は481ps/535Nmものハイスペックで、全長4710mm、全幅1845mm、全高1390mm、ホイールベース2730mmというサイズは、デビュー時こそ大きく感じたが、今回改めて見るとコンパクトにさえ思えた。車重1760kgは、ラグジュアリーな2ドアクーペとしての装備や内容を考えれば、重くない部類だろう。ファイナルエディションの価格は1360万円(オプション別)となる。

世界的に珍しくなった2ドアクーペであるが、外装では前後スポイラーなどにカーボンが多用され、その雰囲気は『昭和40年代男』の筆者にかなり響くもの。前回も書いた『旧さ』がかえって心地よいのだ。

RCは2013年11月、RCFは翌年1月にそれぞれデビューと、もうすぐ干支が一周するほどのロングライフであるから、室内のインターフェイスは正直古く、今どきとしては使いにくい部分もあった。

でも、そんなの関係ねえ! だ。

アスリートの如き緊張感

大排気量、自然吸気、多気筒エンジンをヤマハが作ったと聞けば(正確には共同開発)、外れるわけがなく、2UR-GSEのフィーリングは感動的ですらある。回転が高まったときはもちろん、個人的に好きなのはパフォーマンスを発揮する前、低速域の雰囲気だ。

ガツンと加速させないためかペダルの反応が過敏でなく、ジワリとアクセルを踏んだ時の一挙手一投足には質感がある。停車していると、加速するのを今か今かとクラウチングスタートで待ちうけるアスリートの如き緊張感すら覚えるのだ。

2011年にデビューしたスーパースポーツ『レクサスLFA』。
2011年にデビューしたスーパースポーツ『レクサスLFA』。    レクサス

サウンドはレクサス全般がそうであるように、音量自体は控えめだ。しかし取材車には88万円(!)となるオプションのチタン4連エキゾーストマフラーが装着されていたこともあり、野太い音質はなかなかの迫力だった。

少し話が脱線するが、音量が控えめではないレクサスといえば、2011年にデビューしたスーパースポーツ『レクサスLFA』を思い出す。

こちらもヤマハが開発した4.8L V10『1LR-GUE』型を搭載。そう、大排気量、自然吸気、多気筒エンジンだ。まるで管楽器のように甲高く官能的なサウンドを奏でるエキゾーストノートに、新車当時運転席で『ふぉおお……』と蕩けそうになったのをよく覚えている。

フェラーリのデイトナ、BB、308、288GTOといった名車をデザインした、かのレオナルド・フィオラヴァンティがスタイリングを担当したというのも伝説的で、LFAは日本が誇るべき1台だと言えるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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