【これが最後のアルピナ】B3GTとB4GTが日本上陸!細部に込められたドイツ・ブッフローエの想い

公開 : 2025.02.23 11:05

理想のGT

僅かな時間だがB3GTのステアリングを握ることができたので、その印象を記そう。まずは、しっかりとしたボディ剛性とともに締め上げられた足まわりを持ちながらも、分厚いゴムによってしっかりとショックを吸収しているような、矛盾するが固くて柔らかい乗り心地を感じた。

また、フロント255/30ZR20、リア265/30ZR20(ピレリPゼロ)という大径タイヤを履いているにも関わらず、バネ下の重さは全く感じさせない。例えば速度を落とさせるためのバンプを超える際、ボディはミシリともいわないし、確かに上下方向の動きとショックは感じるものの、決して突き上げられるような角のある不快さがないのだ。

まさに理想的なGTに仕上がっていると感じられるB3GT。
まさに理想的なGTに仕上がっていると感じられるB3GT。    小林俊樹

ワインディングでも接地性は非常に高く、多少段差があろうともタイヤはしっかりと路面を捉え続けるので、安心感は高かった。ステアリングの操舵性は、改良前よりも鋭さこそ和らいだものの、決して鈍ではなく適度なシャープさを保つという、まさにドライバーの意図通りの操舵を受け入れてくれる。

従って高速では軽くステアリングに手を添えておくだけで、そしてワインディングでは狙ったラインをしっかりと追うことができるという、まさに理想的なGTに仕上がっていると感じたのだ。

Mと双璧をなすハイパフォーマンスモデルを独自開発

アルピナといえば、BMWのMと双璧をなすハイパフォーマンスモデルを独自開発し世に送り出してきたメーカーだ。

しかもその乗り味に決して荒々しさはなく、快適性が担保されてきた。そしてそこに価値を見出し、相応のエクストラチャージを支払う目利きに好まれたブランドでもあった。中には全てのエンブレムやデコラインも外して外観は普通のBMWに見せてしまうという、アンダーステートメントを好む人たちもいたほどだ。

いずれも年内はオーダー可能だが、台数の限界もあるので、気になる方はお急ぎを。
いずれも年内はオーダー可能だが、台数の限界もあるので、気になる方はお急ぎを。    小林俊樹

人にひけらかすのではなく、自分が満足できればそれでいいという考えであり、そういった嗜好にピッタリとあてはまったのがアルピナだった。2026年からはBMWのもとでどうなっていくのかは全く不明だが、単なるバッジエンジニアリングではなく、アルピナというブランドに恥じないクルマ創りを続けて欲しいと願わずにはいられない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    小林俊樹

    Toshiki Kobayashi

    1964年生まれ。1985年よりグラフィティにてカメラマン活動をスタート。10年ほど在籍し、その間にライディングスポーツ、レーシングオンなどレース専門誌、レーススポンサー、鈴鹿サーキットのオフィシャル撮影を担当。1995年にはアーガスへ入社、北畠主税氏を師事して13年ほど在籍。自動車のカタログや専門誌、ライフスタイル誌などの撮影を担当。その後2009年にフリーランスとなり、現在に至る。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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