【バレーノとフロンクスを両方所有】シトロエン・ファンがなぜ?インド産スズキ車を愛する気仙沼のオーナーに聞く

公開 : 2025.04.02 11:45

失ったSX4の代わりとして

もうひとつ、菅原さんと敦子さん、そして私が共通してよいと思った点は、乗り心地とシートの出来の良さだ。菅原家の基準として、家族がドライブ中に寝られるかどうかというものがある。フロンクスはその点でも合格だった。「もう乗った途端に爆睡ですよ(笑)」と菅原さん。

実は敦子さんの愛車歴の中に、オレンジのようなカラーの『スズキSX4』もあった。このクルマは2011年3月11日の震災で、菅原さんが大切にしていたクルマ達とともに津波に流されてしまった。そこから徐々に生活を立て直し、趣味のクルマ達のラインナップも増えていった。

レポーターが東京から乗っていったフロンクスと3ショット。
レポーターが東京から乗っていったフロンクスと3ショット。    内田俊一

「でもSX4だけは何もできていないんです」と菅原さん。そこでフロンクスは、ルーセントオレンジパールメタリックを選択。「家も建て、仕事も復興してきましたが、SX4の部分だけは手付かずだったんです。だからフロンクスの購入は、SX4のオマージュという意味もあるんです。津波で失ったSX4の代わりとして復興を遂げられるかな、そう思ったんです」とコメントしていた。

菅原さんの話を伺っていて、まず、ベースとしてクルマの基本性能、走る、曲がる、止まるを備えたうえで、メーカーが自分たちのクルマ作りに自信を持っているクルマが好き、言い方を変えるとユーザーに媚びていないクルマが好きということが伝わってきた。さらに、ベーシックなほど魅力を感じているようだ。

そういった視点でもスズキ・フロンクスは、まさに菅原さんのお眼鏡に適ったクルマといえる。実はもう菅原さんは次の作戦を立てている。それは数年後に改良されるであろう、フロンクスの新型に乗り換えることだ。

「こんなにときめいたクルマはないですよ」と菅原さん。シトロエン好きをも虜にしてしまうフロンクス、その魅力は計り知れないようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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