スズキの良車たち!スイフトMTとフロンクスに乗って感心した話【新米編集長コラム#28】

公開 : 2025.04.20 12:05

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、新米編集長コラムです。編集部のこと、その時思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第28回は、スズキ・スイフトのMTとフロンクスにじっくりと試乗した話です。

スイフトはいい意味で肩の力が抜けている

欧州車のベーシックなハッチバックが好きな筆者にとって、スズキスイフトは気になる存在だ。

軽自動車に対してスズキが『登録車』と呼ぶ乗用車たちには『良車』が多い印象で、触れる機会が多くなった2010年代以降の取材ベースで書けば、スイフトはもちろん、イグニスは全高が1550mmに収まっていれば購入候補になっていたほど気に入った。

試乗車はスズキ・スイフト・ハイブリッドMXの5MT!
試乗車はスズキ・スイフト・ハイブリッドMXの5MT!    平井大介

スイフトのいいところは、いい意味で肩の力が抜けているところだ。媚びてもいなければ、無味無臭でもない。毎日乗る実用車として、こちらも自然体で触れることができると思っている。どこか欧州車に通じる雰囲気が感じられるのは、もちろん欧州でも販売しているからだろう。

なので、フルモデルチェンジ直前にプロトタイプとして2023年ジャパン・モビリティショーに出展された時は、現場でかなり見入ってしまった。サイドのベルトラインが後方に伸びてそのままリアへ回り込んでいるように見えるデザインは、かなり上手だなぁと感心したのだ。

そして、発売からだいぶ時間が経過したが、ようやくスイフトにじっくりと試乗する機会を得た。しかも、中間グレードである『ハイブリッドMX』に用意されている2WDの5速MT! これはかなりドキドキするではないか……。

フロンクスはハイブリッドを感じさせない

実は時系列順で書くと、今回先に試乗したのはフロンクスであった。発表会には行ったものの、試乗会のスケジュールが合わなかったので、後日に乗る機会を頂いた次第。試乗車は4WDだ。

まず思ったのは、日本の道でちょうどいいサイズ感だ。全長3995mm、全幅1765mm、全高1550mmのボディは見切りもよく取り回しもいいので、狭い道を苦にせず、駐車スペースに止めやすかった。

先に試乗したのは同じスズキのフロンクス。グレードは4WD。
先に試乗したのは同じスズキのフロンクス。グレードは4WD。    平井大介

これなら十分だと感じさせるスペースを確保した、室内のパッケージングも見事だ。リアのラゲッジスペース自体は正直、広くないが、リアシートを倒すことで十分に広くなると割り切っている。ラゲッジボード下に収納できるのも美点だ。

クーペSUVとされるスタイリングはこれまた欧州車的。以前の当コラムでも触れたが、デザイナーがイタリア・トリノにあるスズキのデザインスタジオ在籍経験者であることは無関係でないだろう。

乗り味もスズキの『登録車』らしく自然なフィーリングで、1.5L直列4気筒NAのマイルドハイブリッドであるが、6速ATとの組み合わせもよく、いい意味でハイブリッドを感じさせない。タイヤサイズを16インチに抑えていることも、乗り心地のよさに貢献しているだろう。

試乗した期間のトータル燃費は16km/Lくらい

今回試乗した期間のトータル燃費は16km/Lくらいで、カタログスペックが17.8km/Lだから、いい線だと思う。ちなみに2WDのカタログスペックは19.0km/Lだ(いずれもWLTCモード)。

気になったのは、長距離で乗るならもう少し高速安定性が欲しいのと、シートが少し小さく感じたところだ(後者は、スズキに限らずそういうクルマが最近多い気がする)。また、ATのセレクターをDにするときに、何度かひとつ先のMまで変わってしまったのは使いにくく感じた。あと、贅沢をいえばシートヒーターはオンかオフでなく、その中間があると個人的にはありがたいと思った。

しかし、必要そうなものは全て装備していて、価格は273万9000円と300万円を切っているのはお見事。ETC、ドラレコ、2トーンカラーなどを追加した試乗車でも292万3140円だ。

以前日本でも販売していたインド生産のバレーノは、正直、少し安物感があったが、同じインド産であるフロンクスには微塵も感じない。街中中心で使用するなら、これはかなりお勧めの『良車』である。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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