プロダクション版ホンダNSXが登場

公開 : 2015.03.04 22:38  更新 : 2017.06.01 02:10

既に今年の1月に、実に25年振りのNSXとして脚光を浴びたのは記憶に新しいが、ジュネーブ・モーターショーではヨーロッパ版がデビューを果たした。

アメリカはオハイオ州メアリーズビルにある、パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センターで開発が行われる予定である。

軽量ストラクチャーの中央部にV6エンジンを載せている点は、オール・アルミニウム製の初代NSXと同じ。現行型は、ガソリン-電気ハイブリッド・パワートレインを採用した。

新しいパワートレインは4輪を駆動する。非常に硬質なカーボンファイバー・フロアと複合素材ストラクチャーを用いる点も現行モデルのみである。

バンク角75度のV6ツインターボ・ユニットには完全新設計の9速デュアル・クラッチ・オートマティック・ギアボックスが組み合わされる。また、これに加えて3つの電気モーターが加勢する。

最高出力ならびに最大トルクに関する詳細な数値はまだ正式に好評されていないが、およそ558ps程度になることが予想される。

V6エンジンはドライサンプとなり、バルブトレインの設計自体もコンパクトになっていることから、モーターは車体の底部に設置可能となる。したがって、重心位置も低められている。

なお、9速のデュアル・クラッチ・オートマティック・ギアボックスの変速タイムは ”電光石火のごとく” という言葉を用いてホンダは表現する。

3つのうち1つの電気モーターは、エンジンとギアボックスの間に設置されることにより、加速、制動、トランスミッションの変速パフォーマンスの底上げに寄与するのだそうだ。

他の2つのモーターはフロント・アクスル部に設置される。それぞれのモーターが片輪を回し、刹那的なトルク供給のみならず、ダイナミック・トルク・ベクタリングとしての役割も果たすという。

これにより、制動時に生じる時差も解消されるとのこと。これをホンダはAHA(アジャイル・ハンドリング・アシスト)と呼び、制動以外にも変速タイムの短縮にも直接的に繋がっているのだそうだ。

用意されるシャシー・モードは4つ。クワイエット・モードでは短距離用にバッテリーのみが車体を動かす。他にもスポーツ/スポーツ・プラス/トラックが用意される。トラック・モードはNSXの能力をすべて引き出すことができるとホンダは言う。

チーフ・エンジニアであるテッド・クロース氏はAUTOCARに対し ”日々の快適性も確保している” と語ってくれた。氏曰く、”テクノロジーはクルマを速くするためだけにあるのではない” とのこと。

この信念のもと、敏捷性や正確性、リニアリティは過去最高レベルに達しているのだそうだ。数値では表せない、感覚的な快楽の提供にも妥協は一切ないという。

Aピラーが細くできたのは、超高強度鋼とアルミニウムの複合によるスペースフレームによるところが大きい。また、世界初のアルミ・キャスティングを採用。鋳造と鍛造の利点を掛け合わせることができるという。

ボディ・パネルはアルミニウムとシート・モールディング複合材から整形されている。形状はオハイオ州に設置した風洞装置で徹底的に吟味したうえでの決定なのだそうだ。

全長が初代NSXよりも40mm長い4470mm。全幅は130mm、全高も45mm高くなっている。フロントのトレッドは145mmもの拡大を遂げており、リアも同様に75mmワイドになっている。

センタートンネルからシート後方に向けてT字型のバッテリーがマウントされる。サスペンションは前後共にアルミニウム製ダブル・ウィッシュボーン。ホイールは前:8.5×19インチ、後:11×20インチとなる。

カーボンセラミック製ディスクには前:6ポット・キャリパー、後:4ポット・キャリパーが組み合わされる。

日産GT-Rやポルシェ911、アウディR8、フェラーリ458、マクラーレン12Cなどが開発チームにとって目下のライバル。”458や911の楽しさを実現しながら、ハイブリッドの技術革新を進める” とクロース氏。

”初代NSXと同様、数値データはヘッドラインにはなり得ないが、楽しさは他のどのライバルにも負けない” と続ける。”もちろんエンジニアとしては数字も大事ではあるが、もっと大事なことも熟知しているつもりです” とも。

予約開始は今年の夏を予定。デリバリーの開始は今年末を予定しているとのことだ。価格や販売台数は明らかにされていないが、既に英国での販売は決定済みだという。コンバーチブルの追加も無きにしもあらずである。

ホンダの社長である伊東孝紳氏はレーシングカー版の存在も示唆。”これほどまでのパフォーマンスを誇るのだからレースを視野にいれるのも自然な流れ” との考えを示した。

▶ 2015 ジュネーブ・モーターショー