「真のスーパーカー」として成熟したマクラーレン・アルトゥーラ 敬意を深める刺激的な出来事 英国記者の視点

公開 : 2025.12.26 17:05

大幅な改良を受けたマクラーレンの最新PHEVモデル『アルトゥーラ』。試乗中、サーキットでの「ある出来事」をきっかけにスーパーカーとして成熟したことを実感しました。AUTOCAR英国記者コラムです。

スリリングな一面 うまく操れた時の喜び

今夏、筆者はマクラーレンアルトゥーラを駆って英国のスランドウ・サーキットを初めて全開走行した際、最初のシケインで芝生に飛び出すという、控えめに言っても「トラックリミット違反」と呼ぶべきアクシデントを起こしてしまった。

ハンドルを握る側ではひどい感覚と大きな音を聞いたが、カメラに映った映像はそれほど劇的なものではなかった。そして幸いなことに、車体には傷ひとつなかった。

マクラーレン・アルトゥーラ
マクラーレン・アルトゥーラ

プライドは傷ついたが、評判は傷つかずに済んだ。この出来事はアルトゥーラの驚異的な速さと、その性能をいかに軽々と引き出せてしまうかを如実に示している。少しでも注意を怠れば、確実に不意を突かれるのだ。

約1年前に大幅な改良を受けたアルトゥーラは、純粋な性能面において、公道でもサーキットでも、スーパーカーらしいエキサイティングな体験を提供してくれる。だが、それ以上に特筆すべきは、能力の幅広さだ。

EVモードでは街中を静かに、無害に走り回れる。サスペンションの柔軟性は、快適なファミリーカーにも引けを取らない。

こうした穏やかな特性は、時に誤った安心感をもたらす。先日スランダウで経験したアクシデントがその一例だ。さらにその前日、雨の田舎道ではギアを4速に入れていてもタイヤが空転した。

その体験が筆者の心拍数に与えた影響は実に魅力的で、高揚感あるものだった。手に汗握るスリリングな側面こそが、アルトゥーラの魅力をさらに引き立て、うまく操れた時の喜びを倍増させてくれるのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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