メルセデス・ベンツF015

公開 : 2015.03.21 23:50  更新 : 2017.05.13 12:50

メルセデス・ベンツF015ラグジュアリーはSクラスの未来を示唆するモデルであり、この世の中から “運転手” という仕事をなくしてしまうかもしれない存在だ。そして、基本的なコンストラクションやパワートレインへ導入される新技術もさることながら、運転という仕事から開放された瞬間から、最も気になるであろうインテリアのデザインとレイアウトに重きを置いた設計がされている。

ダイムラーAGのCEO、ディーター・ツェッチェは、今年の初めにF015を発表した際に、次のように語っている。「自律運転はわれわれの社会そのものに変革をもたらすことになるだろう。クルマが単に移動のための手段から、モバイル・リビング・スペースに変わっていくことになる。」と。

F015の全長はロング・ホイールベースのSクラスよりも僅かばかり短いサイズだが、幅は広く、高さもある。しかし、そのサイズよりもSクラスと大きな違いはそのプロポーションにある。Sクラスのようなコンベンショナルな3ボックス・スタイルではなく、ストリーム・ラインを持つ1ボックス・スタイルで、そのインテリア・スペースが最大となるようなデザインがされている。また、ドライバーを包み込むようなものではなく、まるでラウンジにいるようなキャビン・レイアウトが特徴である。

ボンネットの下にエンジンが収まるといういままでの常識的なパワートレインのレイアウトではないために、オーバーハングは極めて短く、フロントとリアのウインド・スクリーンはクルマの前後いっぱいに寄せられる。また、ホイールベースは、SクラスのLWBよりも445mm長い3610mmというサイズとなる。エクステリアでは、僅かにフロント・グリルに輝くスリー・ポインテッド・スターがメルセデス・ベンツであることを認識させてくれるだけだ。

F015の本質は、エクステリアに与えられたデザイン言語ではなくインテリアにあることは間違いない。自律運転がドライバーに “時間を返却” することになるからだ。このコンセプト・モデルは、未来のSクラスとして考えられているため、将来的にメルセデスのラインナップでもトップ・エンド・モデルになると考えられるが、本当にプロダクション・モデルとしてリリースされた時には、運転から開放されるという最高の贅沢をドライバーに与えることとなる。

キャビンに入り込むと、従来までの “ハード・ポイント” を持ったレイアウト、マテリアルといったものとは別物であることがわかる。それは、IKEAが考えだした寛ぎの空間のようだ。

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