孤高の万能スーパーカー! ポルシェ911 ターボS カブリオレ(2) 季節や環境を問わず才腕を発揮できる稀有な存在

公開 : 2026.04.27 18:10

992.2型911 GTSの強化版ハイブリッドを得た、ターボS。ミドシップ以上の実用性に、存在感の強い水平対向6気筒、正確で自然な操縦性が確かな強み。UK編集部がカブリオレを評価します。

存在感が心地良い強力な水平対向6気筒

T-ハイブリッド技術を得た、992.2型のポルシェ911 ターボS。エンジンのスタートボタンを押しても、アイドリングは始まらない。発進してしばらくすると、エッジーなノイズとともにエンジンが不意に目覚める。出発前に、音響で胸が踊ることはなくなった。

始動すれば、ターボチャージャーの悲鳴が重なる、水平対向6気筒エンジンの存在感が心地良い。強力なターボユニットが、想像し難いレスポンスで吹け上がり、その気になればずば抜けて速い。もちろん、電気モーターの即時的な大トルクと印象は別物だ。

ポルシェ911 ターボS カブリオレ(英国仕様)
ポルシェ911 ターボS カブリオレ(英国仕様)

初動から加速は鋭いが、回転上昇とシンクロし、滑らかにパワーは増大。バッテリーEVと違って、速度上昇で勢いが鈍くなることはない。公道の限り、秘めた可能性をすべて開放することは難しいが、それを残しておける余裕に満たされる。

ドイツ北部のハンブルクから、中部のフランクフルトまで目指すなら、911 ターボSがベストな手段。ドアツードアで、長距離を短時間に移動するためのクルマといえる。

公道で発揮される正確で自然な操縦性

サスペンションは前がマクファーソンストラットで、後ろがマルチリンク。改良を受けた、アダプティブダンパーとアクティブ・スタビライザーがペアを組む。電圧400Vで制御され、反応は電光石火。アクティブ後輪操舵システムも同様だ。

確かに、複雑な装置ではある。しかし、フェラーリを凌駕せずとも、ポルシェは他社より優れた技術力を有する。車重は軽くないが、ポルシェで911の開発を率いるフランク・モーザー氏は、増加したことは実感できないと発言している。

ポルシェ911 ターボS カブリオレ(英国仕様)
ポルシェ911 ターボS カブリオレ(英国仕様)

実際、筆者も重さは気にならなかった。クイック過ぎないレシオのステアリングはダイレクトで、チューニングは理想的。後輪操舵の動作は、ほぼ感取できない。

英国の傷んだ路面でも、正確で自然な操縦性はいかんなく発揮される。従来より姿勢制御はタイトになり、しなやかさや路面からのフィードバックは僅かに減じてはいる。それでも、パワーアップへ対応するべく、進化を遂げたシャシーだと捉えられる。

カブリオレでもサーキットは思い通り

ドライブモードを引き上げサスペンションを引き締めれば、サーキットでの姿勢制御も秀抜。僅かに生じるロールとピッチは、安心感に結び付いている。緩やかなアンダーステアは、ブレーキングで抑え込める。

カブリオレでも、コーナーのライン取りは思い通り。確かな信頼感のまま、全力で周回できる。ドライブモード次第でダンパーとスタビリティ・コントロールは変化するが、直感的なステアリングは一貫している。

ポルシェ911 ターボS カブリオレ(英国仕様)
ポルシェ911 ターボS カブリオレ(英国仕様)

走り込んだ夕方に、調子を崩す心配も少ない。確かめたいのは、タイヤの空気圧くらいだろう。

パフォーマンス重視のT-ハイブリッドながら、燃費も悪くない。アクセルペダルを不用意に蹴飛ばさない限り、普段使いで9.0km/L近くを得られるはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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