スバル『BRZ 4WD』は量産の可能性あり? 本社で開催された異例会見の真相 ブランド戦略に大きな時代変化

公開 : 2026.04.28 07:25

4月24日、スバルが新型ラリーマシンの記者発表会を開催しました。こちらはモータースポーツの枠を大きく超えた、スバル・ブランド戦略の根幹に関わる大きな時代変化が感じられたようです。桃田健史がレポートします。

スバル・ブランド全体に関わる大きな出来事

まさか、『BRZ 4WD』が量産か?

東京都渋谷区恵比寿にあるSUBARU(以下、スバル)本社1階、販売会社の東京スバルのショールームで開催された新型ラリーマシン記者発表会は、モータースポーツの枠を大きく超えたスバル・ブランド全体に関わる大きな出来事だった。

スバルBRZは現在、FRの2WDのみをラインナップしている。
スバルBRZは現在、FRの2WDのみをラインナップしている。    スバル

通常、ここには『フォレスター』や『ソルテラ』などの量産車が展示されている。今は新型EV『トレイルシーカー』に関する展示が目立つ。場合によってはスバル本社が行うイベント会場としても活用されたり、またオンライン会見で記者を入れない状態で使われることなどがある。

それが今回、新しいラリーマシン世界初公開の場として使われたのだ。

長年に渡りスバルのラリー活動に関わってきた関係者も、「スバル本社が新宿から恵比寿へ引っ越してから、ラリー車の発表をここで行うことはなかったはず」と驚いた様子だった。

さらなる驚きは、新型ラリーマシン『スバル・ボクサー・ラリースペック2』は『BRZ』がベースなのだが、なんと4WDである点だ。

これはJAF(日本自動車連盟)における全日本ラリー選手権車両規定に従った改造であり、ターボ装着と4WDはラリーでの戦闘力を上げるためには当然の選択だろう。だが、それだけではスバル本社1階で記者会見を行うための推しが弱い。

実は、スバルは今回の発表を単なる国内モータースポーツとして捉えてはおらず、スバルのブランド戦略の根幹に関わる大きな時代変化として、メディアに向けて情報発信したいという思いがあった。

すべてを物語る発表のタイミング

今回の発表会は4月24日に開催された。全日本ラリー選手権の観点では、開幕戦が2月末から3月上旬、第2戦が4月上旬に終了しており、本来なら開幕戦前に発表というのが、自動車メーカー本社直轄のモータースポーツ活動としては定石のスケジュールだ。

それをあえてこの時期にずらしたのは、新型マシンの開発状況だけではなく、新年度からスバル本社の組織体系が変わったことに関係している。

4月24日にスバルが開催した、新型ラリーマシン記者発表会。
4月24日にスバルが開催した、新型ラリーマシン記者発表会。    桃田健史

会見の冒頭で、4月1日付けで発足した商品革新本部・スポーツ車両企画室の大村雅史室長からスバルの新体制について詳しい説明があった。

同室の役割について、スバルのホームページには『カスタマーファースト推進本部に属するアフターパーツ企画関連の一部機能、ならびに車両開発における品質企画の一分機能』とある。

今回、大村室長は「スバルのパフォーマンスシーンを際立たせるために、商品、モータースポーツ、バリューチェーンを一体で企画推進する」とスポーツ車両企画室の実態を説明。企画室は、スポーツ系商品、モータースポーツ技術企画、モータースポーツ戦略企画という3つのグループで構成されている。

その上で、モータースポーツ活動(ラリー、スーパーGT、スーパー耐久等)と量産化開発の連携を強化すると主張したのだ。

だとすれば、今回発表したラリーマシンは、BRZ 4WDの量産に向けたテストベッド(開発基盤)という解釈も成り立つ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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