7シーター・スーパーカー ルーシッド・グラビティ 7シート(2) 電気技術の1つの高み 競合より速く、広く、航続距離も長い

公開 : 2026.04.24 18:10

テスラの技術者が移籍し誕生したルーシッドが、欧州へ上陸。従来の高級車やテスラと一線を画す車内に、総合838psの電動パワートレインを備え、走りはスーパーカー級。UK編集部が評価しました。

滅法速く、驚くほど上質で扱いやすい

欧州での提供が始まる、アメリカ生まれのルーシッド。システム総合838psのグラビティ 7シートを、「7シーター・スーパーカー」だと同社は表現する。

確かに滅法速いものの、走りは驚くほど上質でもある。アクセルペダルのストロークは長く、反応は線形的だから、望み通りのパワーを引き出しやすい。トラクションに優れ、速度管理は至ってしやすい。

ルーシッド・グラビティ・グランドツーリング 7シート(欧州仕様)
ルーシッド・グラビティ・グランドツーリング 7シート(欧州仕様)

走行中の車内には、薄っすらとモーターのノイズが届く。人工的なエンジン音ではなく、リアルな電気自動車の音として、筆者は好感を抱いた。

回生ブレーキは、オフにして惰性走行も可能だが、基本はワンペダルドライブに対応。しかし、ブレーキペダルを踏んだ場合に機能するのは、摩擦ブレーキのみ。摩擦と回生を巧みに融合させる技術の開発が難しかったと、ルーシッド社は主張する。

秀抜な安定性に軽快な身のこなし

操縦性は、主張通り7シーターのスーパーカー。後輪操舵と3チャンバー・エアスプリングが組まれる、ダイナミック・ハンドリング・パッケージ仕様の試乗車では。

ボディは路面へヒタヒタ追従し、締まりのある姿勢制御で安定性は秀抜。エアスプリング特有の浮遊感は排除されつつ、路面の凹凸をしなやかに吸収し、快適性も褒められる。遮音性に優れ、高速域での車内は非常に静かでもある。

ルーシッド・グラビティ・グランドツーリング 7シート(欧州仕様)
ルーシッド・グラビティ・グランドツーリング 7シート(欧州仕様)

ステアリングは、感触は薄めながら、正確で適度にクイック。後輪操舵システムの効きに、違和感はなし。軽快な身のこなしで、実際よりボディは小さく感じられたほど。

カーブでは、2.7t超えの車重がボディを路面へ圧着。優れたグリップ力で、狙ったコーナリングラインを沈着に辿っていける。とはいえ、試乗したスペイン・マヨルカ島のワインディングでは、2mという全幅で相当な注意力は求められたが。

1度の充電で現実的に590kmは走れる

ドライブモードは、スムーズ、スイフト、スプリントの3種類あるが、いずれもシームレスなことに変わりはない。駆動用モーターやサスペンション、ステアリングなどを任意に設定できるモードがあれば、なお良いだろう。

総合的には、操縦性に優れ乗り心地は快適。実に素晴らしいバランスにある。

ルーシッド・グラビティ・グランドツーリング 7シート(欧州仕様)
ルーシッド・グラビティ・グランドツーリング 7シート(欧州仕様)

電費は、日常的な環境を想定した試乗で平均4.8km/kWh。現実的に、590kmは走れる計算になる。急速充電は最大400kWと高速で、ボルボEX90を凌ぐ。ガラスルーフが標準なため、夏場はエアコンに負担がかかりそう。若干、そのノイズも気になった。

ちなみに、ソフトウエアのデバッグ作業はまだ続く様子。試乗車はドアロックが不調で、勝手にキーインロックされてしまい、スマホのアプリで対処する場面があった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ルーシッド・グラビティ 7シートの前後関係

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