重さは10分の1? 3Dプリントで高性能インタークーラーを製造 冷却効率も向上

公開 : 2025.08.26 18:45

オーストラリアのコンフラックス社は、3Dプリント(積層造形)技術を用いて高性能のインタークーラーを開発しました。小型軽量設計で、まもなく発売予定のドンカーブートの新型スーパーカーに採用されます。

小型&軽量 表面形状も最適化

3Dプリント、正式には「積層造形(AM)」と呼ばれるこの技術は、過去5年間で急速に進歩した。

オランダの自動車メーカーであるドンカーブートは、その利点に着目し、近日発売予定の新型スーパーカー『P24 RS』に3Dプリントのインタークーラーを採用した。

積層造形技術を用いたコンフラックス社のインタークーラー
積層造形技術を用いたコンフラックス社のインタークーラー    コンフラックス

このインタークーラーは、オーストラリアのコンフラックス(Conflux)社によって開発されたものだが、単に製造を容易にするだけにとどまらない。アルミニウム合金製の水冷式インタークーラーで、重量は従来品の16kgから1.4kgに大幅に削減された。同社はこれを、F1技術(同社の創設者はF1界の出身)と表現している。

メリットは他にもあり、従来品と比べて熱性能とパッケージングに優れているという。さらに、継ぎ目や溶接のない一体型構造のため、強度も高いとのことだ。

ドンカーブートが提示したインタークーラーの仕様要求に対し、コンフラックス社は改良を重ね、初期の試作品からさらに小型化した設計案を出した。インタークーラーを流れる冷却水は、外部のラジエーターで冷却される。

小型化に伴い、インタークーラーの設置位置の自由度が高まり、吸気経路の長さを3分の2に短縮できる。その結果、スロットルレスポンスの向上、効率の向上、重量配分の最適化を実現し、それらすべてがドライビングに恩恵をもたらす。

積層造形のプロセスは、3Dモデルを使い、粉末状の材料にレーザーを照射して融合させ、物体を形作るというもの。コンフラックス社は、業界で最も一般的なアルミニウム合金の1つとされる、高品質の『AlSi10Mg』を使用してインタークーラーを製造している。

空気は圧縮されると加熱され、密度が低下する。エンジンの性能を最大限に引き出し、異常燃焼を防ぐためには、吸入する空気を一定程度冷やす必要がある。圧縮され加熱された空気がエンジンに入る前に、フィン状の壁を通じて冷却液に熱を伝導して冷やす。それがインタークーラーの役割だ。

積層造形により、コンフラックス社のインタークーラーのフィンは160ミクロンという薄さを実現した。これは人間の髪の毛の2~3倍程度の厚さだ。フィンが薄ければ薄いほど、不要な熱を効率的に放散できる。

さらに、コンフラックス社は積層造形の利点を活かし、インタークーラーを通過する流体の熱特性の変化を考慮した複雑な表面形状(ジオメトリ)を採用している。これにより、熱伝導効率がさらに向上し、インタークーラーの高性能化を実現したという。

記事に関わった人々

  • ジェシ・クロス

    Jesse Crosse

    役職:技術編集者
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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