驚愕のツインエンジン シトロエン2CV サハラ(1) オフローダーと呼べる走破性 現存100台以下の希少モデルをテスト
公開 : 2026.05.30 17:45
2基のエンジンで四輪駆動を叶え、オフローダーと呼べる走破性を秘めたシトロエン2CV サハラ。トルクは太く、バネの効いた乗り心地は滑らか。残存100台以下といわれる希少車を、UK編集部が試乗です。
ガソリンエンジンを2基積んだ唯一の乗用車
日本的に表現するなら、「大は小を兼ねる」。シトロエンが、2CV サハラを発表した時に用いた表現だ。当時のフランスが領地とした、北アフリカに暮らす人のため、農地以上に困難な環境での移動を想定したクルマだった。
しかし、四輪駆動化を目指した開発の方向性は、正しくなかったのかもしれない。同社史上、最も難解で奇抜な名作、いや迷作が誕生している。

長い自動車史で恐らく唯一、ガソリンエンジンを2基積んだ乗用車となったのが、2CV サハラ。その強みは、砂漠など過酷な状況下での耐久性といえ、片方のエンジンが故障しても、残りの1基で走ることが可能だった。
センタートンネル横の小さなレバーで、四輪駆動から前輪駆動へ切り替えられる。フロントエンジンだけを利用して走れば、消費するガソリンを減らせた。また、ボンネットを開き専用工具でフロントのクラッチを切り離せば、後輪駆動でも走れた。
2つのキーで前後のエンジンを個別に始動
フロア中央から突き出ているのは、前後の4速MTと結ばれたシフトレバー。通常の2CVでは、ダッシュボード下部から傘の柄のようにレバーが突き出ていることを、ご存知かもしれない。ノブはボール状で、メーター横にHパターンが記されている。
四輪駆動で発進するには、2つのイグニッションキーを回し、前後の水平対向2気筒エンジンを個別に始動する必要がある。遮音性は低く、バルクヘッド越しに空冷ユニット特有のノイズが車内を満たし、極めて賑やかだ。

前後のエンジンをシンクロさせる機構は、基本的にナシ。アイドリング時は、回転数が僅かに異なり、不協和音が少し耳障りといっていい。
想像以上に硬いシフトレバーを倒し1速を選び、通常の2CVと同じレバーでハンドブレーキを解除。重たい油圧式のクラッチペダルを緩めると、2CV サハラは1基目のエンジンで進もうとするが、クラッチは当然だが前後で別にある。
オフローダーと呼べる悪路の走破性
更にもう少し、数mmほど緩めると、残りのクラッチもつながる。ところが、アクセルペダルの踏み込み量が足りないと、一方のエンジンがストール。写真撮影のための細かな位置調整は、正直なところ難しい。
今回の車両を管理するドイツ国立自動車博物館の担当者は、エンスト後は1度クルマを止めて、始動し直すのが正解だと話す。MT車だから、片方のエンジンの勢いで押しがけできそうだが。

とはいえ、速度が乗ればさほど扱いにくくはない。エンジンは通常の2CVと変わらず、1基当たり13.5psを発揮しているはずで、合計27psと活発。1970年代に602ccの2CV 6が登場するまで、最もパワフルな仕様だった。
四輪駆動だから、急勾配も問題なし。ソレックス・キャブレターは改良され、ボディが大きく傾いてもガソリンは途絶えない。ストロークの長いサスペンションで、オフローダーと呼べる悪路の走破性を秘めている。










































































































































