【セブンの姿のスーパーカー】ドンカーブートD8 GTO-JD70へ試乗 618ps/t

公開 : 2020.08.26 10:20

オランダ(ネーデルラント)版ケーターハムといえる、ドンカーブート社。アウディ製5気筒ターボをチューニングし、1t当たり618psというモンスターを生み出しました。セブンの姿をしたスーパーカーを、英国編集部が評価します。

古希祝いの生産台数は70台限定

text:Matt Prior(マット・プライヤー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
その昔、若きヨープ・ドンカーブートがロータス・セブンを欧州へ輸入し初めたとき、1つの問題に直面した。そのままでは合法扱いにならず、小さな改良を加える必要があったのだ。

それから42年が過ぎた。彼は、手を休めることはなかったらしい。

ドンカーブートD8 GTO-JD70(欧州仕様)
ドンカーブートD8 GTO-JD70(欧州仕様)

今回試乗する、オリーブグリーンのモンスターは、ドンカーブートD8 GTO-JD70。ドンカーブート社を創業した、ヨープの70才を記念して生み出されたクルマで、生産台数は70台に限定されている。

ベースとするのは、ドンカーブートD8 GTO。フロントエンジン・リアドライブの小さなロードスターだ。ケーターハム・セブンもロータス・セブンを起源としているが、こちらはさらに変化を遂げている。

オランダ(ネーデルラント)のレリスタット工場で生み出されるのは、チューブラーフレームを軸とするシャシー。オリジナルとなる、カーボンファイバー製の構造部分と結合される。

シャシー単体の重量は54kgしかない。ねじり剛性は20kNm/degもある。プッシュロッド式のウイッシュボーン・サスペンションがタイヤ4本を支える。

以前から、コスワース製ユニットを用いていたドンカーブート。一時、V6エンジンを搭載するためアウディと契約する。ところがRS3に搭載される、2.5Lの直列5気筒ユニットへの新しい取り決めはうまく行かなかった。

セブンのカタチでも最高速度は280km/h

だが当時のアウディの技術者、ウルリッヒ・ハッケンバーグは、そのアイデアを気に入っていた。そこからドンカーブートD8へと展開し、素晴らしく速いレーシングカーが誕生した。

ルーフの付くD8 GTは、2011年のドバイ24時間レースで、クラス優勝を挙げるほど。だがオープンボディのロードスターの需要が高く、D8 GTOが生まれた。Oは、オープンの頭文字だ。

ドンカーブートD8 GTO-JD70(欧州仕様)
ドンカーブートD8 GTO-JD70(欧州仕様)

D8は、ロータス・セブンを由来とするほかのロードスターより、ひと回り大きい。全長は3836mmで、全幅は1850mm。ケーターハム・セブンは全長3380mm、全幅1580mm程度しかない。アリエル・アトムでも、全長3520mm、全幅1880mmだ。

車重は680kg。ボディは少し大きくても、まだまだ軽いスポーツカーだといえる。

ドンカーブート社は、年間50台のD8 GTOを生産している。JD70のリリースに合わせて、アップデートを施した。

最新の環境規制に合わせて、ガソリン微粒子フィルターを追加。このフィルターのおかげで、排気音はかなり絞られるから、荷室下にあった大きなサイレンサーはなくなっている。レイアウトはサイド排気だ。

荷室の床面は深くなり、容量は大きくなった。荷物が熱くなることもない。フロントのサイクルフェンダーにはルーバーが切り込まれ、リフトを抑えている。

ドンカーブートD8は、デザインも魅力的に変化を重ねている。同時に空力特性も向上され、GTO-JD70では最高速度が280km/hに届く。

おすすめ記事

 
最新試乗記

試乗記の人気画像