メルセデスAMG 「油冷」バッテリーで急速充電 1360馬力の次世代高性能EV『GT XX』登場
公開 : 2025.06.27 18:45
メルセデスAMGは、次世代EVのコンセプトモデル『コンセプトAMG GT XX』を発表しました。新型のGT 4ドア・クーペと予想され、新たなバッテリー冷却システムやエアロパッケージを搭載しています。
次期GT 4ドア・クーペの予告?
メルセデス・ベンツは、高性能車ブランドのAMGから新型のコンセプトカー『コンセプトAMG GT XX』を発表した。合計出力1360psを誇る四輪駆動のEVで、革新的なデザイン、先進的なドライブトレイン、モータースポーツからインスパイアされたコクピットを特徴としている。
新開発のトリプルモーター・システムと、最大850kWの急速充電が可能な油冷式114kWhバッテリーを採用。AMG史上最強の技術デモンストレーションであり、GT 4ドア・クーペの次世代モデルと予想されている。

GT XXは来年の市場投入に先立ち、プロトタイプでさまざまな世界記録への挑戦を行う予定だ。メルセデス・ベンツの最高技術責任者(CTO)であるマルクス・シェーファー氏は、量産バージョンでは0-100km/h加速2.5秒未満、最高速度360km/hを目標としていると述べた。
「(2022年公開の)EQXXコンセプトでは、効率、航続距離、充電の限界に挑戦し、それが直接、新型CLAにつながりました。GT XXでは、パフォーマンス面でも同じことを目指しています。限界を試し、そのイノベーションを量産車に反映させるのです」
メルセデス・ベンツが2022年に発表したEQXXコンセプトは、空気抵抗を可能な限り抑え、高効率のパワートレインと組み合わせることで、実走行テストで1000km以上の航続距離を実現した。今回、AMGのGT XXコンセプトは、走行性能の面で高い目標を設定している。
GT XXは、EV用に新しく開発されたAMG.EAプラットフォームを初めて採用した。バッテリーはシャシーと一体化され、ねじれ剛性と衝突安全性を高めている。ボディは、アルミニウム、スチール、カーボンファイバーの複合材で構成される。
デザイン
GT XXはこれまでのAMGにはない、まったく新しいデザインを採用している。ロングボンネット、キャブバックのプロファイル、リアに向かって絞り込まれるような流れは、新しい時代の到来を予感させる。
「スポーツカーと見る人もいれば、グランドツアラーと見る人もいるでしょう。このクルマは、その両方の世界を融合しています。しかし、最も重要なのは、このクルマが情熱を掻き立てるということです」とシェーファー氏は語る。

最も印象的なのはフロント部分で、AMGのパナメリカーナグリルが立体的な楕円形となり、10本のラインが入っている。ボンネットには熱を排出するための通気口があり、フロントガラスは空力性能を向上させるために大きく寝かせ、ルーフにはエアチャンネルが設けられている。
サイドは、フラッシュ式ドアハンドルとコンパクトなエアロミラーを備えたフレームレスドアで空気抵抗を低減し、サイドシルは空気の流れを導く形状となっている。
リアを見ると、リアウィンドウが設けられていない。下部には、6灯の円形テールライトが並び、730個のLEDで構成される中央のライトパネルは、さまざまなメッセージを表示可能だ。エアブレーキ用のスポイラーは、急ブレーキ時や高速走行時に展開し、大型のカーボンファイバー製ディフューザーと連携して空気を操る。
21インチのアルミホイールにもエアロデザインが施されている。5つのアクティブブレードが備わり、ブレーキ時には開いて冷却を助け、高速走行時には閉じて空気抵抗を低減する。
これらすべてが相まって、空気抵抗係数(Cd値)は0.19を実現した。この数値は、EQXXの0.17ほど低くはないが、シェーファー氏によると、GT XXの開発にあたっては空気抵抗の徹底的な低減よりも、ダウンフォースと冷却性能を優先したという。
これを補うため、アンダーフロアに複雑なエアロダイナミクス設計を採用し、ベンチュリー効果を生み出すことで、「卓越したエアロダイナミックバランス」を実現している。
GT XXのボディサイズは、全長5204mm、全幅2130mm、全高1317mm。参考までに、2018年発売のGT 4ドア・クーペと比べて、全長は150mm長く、全幅も61mm広いが、全高は130mm低い。このサイズ感は量産バージョンにも引き継がれる見込みだ。
鮮やかなサンセットビームオレンジの塗装は、1970年代のC111や、最近のワン・イレブンなど、これまでの研究用プロトタイプやコンセプトカーに対するオマージュだ。



















