【レーシングドライバー塚本ナナミのスーパー耐久参戦記】第2回:まさかの雨と、夜の富士スピードウェイ!

公開 : 2026.05.26 11:45

レーシングドライバーの塚本ナナミ選手によるスーパー耐久参戦記です。2026年シーズンにフル参戦というチャレンジを、本人自ら語ります。第2回は、5月14日に富士スピードウェイで行われた公式テストの様子です。

もてぎのトラブルを乗り越え、万全の体制で富士へ

みなさん、こんにちは。レーシングドライバーの塚本ナナミです。

今シーズン用に新調したレーシングスーツも届き、ワクワクした気持ちで、6月の富士24時間レースに向けた公式テストに臨みました。今回はその様子をお届けします。

こちらが今シーズン用に新調したレーシングスーツ。気持ちも新たに、がんばります。
こちらが今シーズン用に新調したレーシングスーツ。気持ちも新たに、がんばります。    Shinichi Yasuda

開幕戦のもてぎでは、私たちAndLegal Racingの822号車は燃料ポンプにトラブルを抱えてしまい、チーム一同、悔しい思いをしました。

レースの世界では、たったひとつの小さな部品が結果を大きく左右します。

「二度と同じことは繰り返さない」

チーム全員がそう心に誓い、そこからの仕事ぶりは本当に頼もしいものでした。

メカニックがトラブルの原因を丁寧に突き止めてくれ、しっかりと修理して、本番前にはスポーツランドSUGOで入念なテスト走行を重ねてくれました。考えられる不安をひとつずつ消し込み、「もう大丈夫」と胸を張れる万全の状態でマシンを富士スピードウェイへ送り出してくれたのです。

レースは、ドライバーがクルマに乗り込む前から、もう始まっています。みなさんも、愛車のちょっとした異音や違和感に気づいたとき、早めに点検に出すと安心ですよね。それと同じで、地道な準備の積み重ねこそが、本番の安心につながります。

キャリア15年を超えた今でも、整えてもらったマシンのステアリングを握る瞬間は特別です。私はこの公式テストに、支えてくれるチームへの感謝と、「絶対にいい走りで応えたい」という思いを乗せて臨みました。

私の枠だけ、まさかの雨。スリックタイヤで挑んだウエット路面

公式テストは時間を区切ったセッション(走行枠)に分かれていて、複数のドライバーが交代で走ります。

ところが、私が担当した2回目のセッション。コースインしようとした、まさにその直前から、ポツポツと雨が降り出したのです。しかも、雨が落ちてきたのは、なんと私の走る枠だけ。

合言葉は『We are ONE TEAM!』。支えてくれるチームに、走りで応えていきたいです。
合言葉は『We are ONE TEAM!』。支えてくれるチームに、走りで応えていきたいです。

タイヤはスリックタイヤ(溝のない、晴れた路面用のタイヤ)のまま、コースイン。本来、濡れた路面では溝のあるレインタイヤに履き替えるのが基本ですが、降り始めは各チームの作戦が分かれます。

周りのチームが次々とレインタイヤへ交換していくなか、私はチームと無線で相談しながら、ギリギリまでスリックタイヤで粘りました。濡れた路面でグリップ(タイヤが路面をつかむ力)を探りながら走るのは、本当に神経を使います。それでも、富士スピードウェイの上り勾配が続く第3セクターにさしかかると、さすがにスリックタイヤでは前に進まなくなり、レインタイヤに履き替えて再びコースへ向かいました。

結果として、ひとつの走行枠のなかで『雨のスリックタイヤ』と『レインタイヤ』、その両方を経験できました。これはなかなかできることではない、とても貴重な勉強の機会。ラッキーだったと思っています。天気がめまぐるしく変わる24時間レースでは、この経験がきっと生きてくるはず。

……とはいえ、雨が降ったのは私の枠だけ。正直なところ、気持ちはちょっぴり複雑でした。

記事に関わった人々

  • 執筆

    塚本ナナミ

    Nanami Tsukamoto

    ブラジル・サンパウロ生まれ、山梨育ち。やまなし大使を務めるレーシングドライバー。GAZOO 86/BRZレースで経験を積み、2015年にはポルシェカレラカップジャパンで年間チームチャンピオンを獲得した。海外ではニュルブルクリンクVLN耐久レースに加え、アメリカ、タイ、インドネシアでのドリフト競技にも参戦。競技の最前線で培った知見をもとに、自動車メーカーと連携した女性向けの脱ペーパードライバー講習や企業向けドライビング講習を行うほか、ゲームやアニメを活用し、運転する楽しさと交通安全の大切さを伝える活動にも取り組んでいる。

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