ホットなフレンチかポップなイタリアンか? フィアット・グランデ・パンダ・エレクトリック x ルノー 5 E-テック(2)

公開 : 2026.05.29 18:10

中国の安価なEVへ対峙する、フィアット・グランデ・パンダとルノー 5。温故知新デザインは共通しつつ、特徴は異なります。ホットなフレンチかポップなイタリアンか? UK編集部が2台の魅力へ迫ります。

特徴を明確に表す運転席の印象

魅力的なデザインで仕立てられた、フィアット・グランデ・パンダ・エレクトリックとルノー5 E-テック。運転席の印象も、特徴を明確に表している。

5 E-テックはシートの座面が低く、運転姿勢は乗り慣れたハッチバックのそれ。他方、グランデ・パンダは目線が高めで、クロスオーバーなスタイリングを反映している。より積極的に運転したいと思わせるのは、前者かもしれない。

手前からフィアット・グランデ・パンダ・エレクトリックと、ルノー5 E-テック
手前からフィアット・グランデ・パンダ・エレクトリックと、ルノー5 E-テック    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ただし5 E-テックは、ステアリングコラムから、複数のレバーが混雑気味に突き出ている。シフトセレクターと間違えて、運転中にワイパーを動かしてしまうことが、筆者は何度かあった。

乗り心地や動力性能で勝る5 E-テック

乗り心地は、5 E-テックが僅かに優れる。リアサスペンションがマルチリンク式なことが、効果的に働いているのだろう。どちらも路面の凹凸を滑らかに受け流し、伝わるのは不快ではない揺れ程度だが、処理力が高いのは5 E-テックといえる。

強めの入力も充分に吸収し、フラットな快適性に身を任せられる。風切り音やロードノイズも小さい。グランデ・パンダは、比べると走行中は若干にぎやか。それでも、耳障りとまではいえず、航続距離以上の長距離移動へ二の足を踏む程ではないが。

ルノー5 E-テック・アーバンレンジ・エボリューション(英国仕様)
ルノー5 E-テック・アーバンレンジ・エボリューション(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

流れの速い郊外の一般道では、5 E-テックの動力性能が光る。駆動用モーターの最高出力は、112psに対し119psと7psの差しかないが、約50kg軽い車重と倍近く太い最大トルクが影響し、アクセルレスポンスは明らかに鋭い。

ドライブモードをスポーツにすれば、違いは瞭然。0-100km/h加速9.0秒以上に、活発だと思わせる。グランデ・パンダも、普段使いで非力に感じるわけではないけれど。

見た目以上に速く走るのが得意なパンダ

連続するカーブへ飛び込んでも、スポーティなのは断然5 E-テック。ステアリングは軽く、滑らかにラインを描くには丁寧な操舵が求められるものの、アクセルペダルの加減で活発なコーナリングを披露する。積極的に、コーナーの頂点を目指せる。

往年のようにボディロールは大きくないが、まさにフレンチ・ホットハッチらしい積極性。加熱度の高いアルピーヌA290以上に、一般道での充足感は高いかもしれない。

フィアット・グランデ・パンダ・エレクトリック・ポップ(英国仕様)
フィアット・グランデ・パンダ・エレクトリック・ポップ(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

グランデ・パンダのドライブモードは、エネルギー消費を抑えるコンフォートがあるだけ。線形的なアクセルレスポンスで扱いやすい反面、スポーティ度は低い。

一方で、ステアリングのレシオは、5 E-テックより自然。安心感を伴う重み付けで、実はタイヤも1サイズ太く、カーブでの安定感は高い。操縦性の滑沢さでは届かなくても、有能なイタリア車のイメージ通り、見た目以上に速く走るのが得意といえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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