HVモードが気持イイ アウディA5 アバント e-ハイブリッド 両者の長所を兼備 仕上がり高バランス

公開 : 2025.08.26 19:05

EVとエンジン車、両方の長所を兼ね備えたと主張されるプラグインHV デフォルトはEVモード 電気だけで最長104km らしい内装の高級感 高バランスのパッケージング UK編集部が試乗

両方の長所を兼ね備えたプラグインHV

バッテリーEVの販売不調とクロスフェードするように、プラグイン・ハイブリッド(HV)は好調。アウディのCEO、ゲルノット・デルナー氏は、両方の長所を兼ね備えたパワートレインだと発言している。電動化への、単なる移行技術ではないといえる。

A4からモデル名が改められた、最新のA5にもプラグインHVが追加された。BMW 330eに対するドイツ・インゴルシュタットからの回答といえ、簡単に認識できるよう、e-ハイブリッドという肩書も得ている。

アウディA5 アバント e-ハイブリッド・エディション1 クワトロ(欧州仕様)
アウディA5 アバント e-ハイブリッド・エディション1 クワトロ(欧州仕様)

ちなみに、新世代のA5が発表された直後に、同社はバッテリーEVへ偶数を、エンジン車へ奇数を割り振るという方針を撤回している。もう少し決断が早ければ、A4を名乗っていた可能性は高い。

エンジンは単体で251psを発揮する、2.0L 4気筒のEA888型ガソリンターボ。7速デュアルクラッチAT内に143psの駆動用モーターが内蔵され、システム総合で299psと45.8kg-mを発揮する。スポーティなS5風ボディキットを得た、367ps仕様もある。

デフォルトはEVモード 電気だけで104km

駆動用バッテリーは、従来のシステムから45%大容量化され、20.7kWh。今回試乗したステーションワゴンのエディション1では、電気だけで最長104km走れると主張される。これは、330eのツーリングとほぼ同値。サルーンは107kmへ僅かに伸びる。

エンジンとモーターは、それぞれ出番がない時は、クラッチで駆動系から切り離される。これにより電気だけでの走行時だけでなく、駆動用バッテリーの充電が切れても高効率な走行を叶えている。

アウディA5 アバント e-ハイブリッド・エディション1 クワトロ(欧州仕様)
アウディA5 アバント e-ハイブリッド・エディション1 クワトロ(欧州仕様)

発進時のデフォルトはEVモード。カーナビへ目的地を入力すればルートを判断し、最も優れた効率になるようパワートレインは自動的に制御されるという。回生ブレーキは、3段階に調整可能。最大88kWの電気エネルギーを回収できるとのこと。

EVモードで発進させると、ペダルを強く踏み込んでも、エンジンは簡単には始動しない。高速道路などの高い負荷時には、静かにお目覚め。パワーデリバリーは滑らかで、シームレスに制御される。

快適なHVモード 操縦性や乗り心地は良好

ハイブリッド・モードでの走りは、エンジン単体で走るより遥かに快適。駆動用バッテリーの充電量が充分なら、バッテリーEVへ近い感覚で運転できる。エンジン音は殆ど聞こえず、トルクフルでスムーズ。こまめに充電したいと思わせるはず。

加速力も不満なし。サルーンでもステーションワゴンでも、0-100km/h加速は5.9秒が主張される。

アウディA5 アバント e-ハイブリッド・エディション1 クワトロ(欧州仕様)
アウディA5 アバント e-ハイブリッド・エディション1 クワトロ(欧州仕様)

Sモードを選ぶと、それ以外のモード時は回生ブレーキの強さを調整する、ステアリングホイール裏のパドルで7速ATのギアを選べるようになる。ところが、このモード時は駆動用モーターが切り離されるため、若干パワー感が劣るように感じられた。

試乗車は20インチ・アルミホイールを履いていたが、操縦性や乗り心地は良好。ステーションワゴンでも、動的特性はサルーンと殆ど変わらない様子。ちなみに、アダプティブ・スポーツサスペンションは、市場によっては選べないという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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