トヨタ・オーリス 120T

公開 : 2015.04.08 23:50　　更新 : 2022.12.12 21:30

近々公道で運転できるチャンスをもらえそうだ。まとまった時間試乗して、改めてご報告したい。

■「買い」か?

欧州でゴルフ、フォーカスに挑んでいるだけあって、新型オーリスのフィーリング面も含めたダイナミック性能はけっこうよさげに思えた。けっこうよさげ、と曖昧に書いているのはわずか10分の試乗にとどまっているからだ。ヘアピン立ち上がりのトルクの追随に関する不満も、袖ヶ浦レースウェイのレイアウトのなせるワザ、という感がある。

オーリスの問題は、担当者が嘆いたように「選択肢の土壌に上がっていない」という知名度の低さにある。袖ヶ浦は2、3速を多用する低中速コースながら、十分楽しい。そのよさが日本国内ではぜんぜん知られていない。シャア・アズナブルの愛機ということは知られていても、その愛機がどういうクルマであるのか、についてはあまり語られていない。ステアリング・フィールなんて、ゴルフよりいいかもしれないのに……。

日本での月販目標1000台。どんな人が買っているのですか？　という筆者の質問に、「国内では、輸入車は壊れてイヤだと思うお客様」という答えが返って来た。信頼性、耐久性のあるガイシャみたいなクルマ、と認知されているらしい。

今回試乗したオーリス120Tは実際、259万円もする。試乗車はオプションの17インチを履いていたので、プラス12万円。日本でだって、ゴルフは264万円から売り出されている。せめて国内でもハイブリッドを出せばよいのに……と申し上げると、担当者は、価格が高くなりすぎる、と言う。プリウスが安すぎるのだ。
筆者は、いまのゴルフは盤石ですね、とだけ言った。オーリス担当者は「そんなことはない」と不敵な笑みを浮かべながら続けた。
「3年後を楽しみにしてください。一皮、二皮バッチリむけますので」
臥薪嘗胆。いまオーリスを買うと、次のオーリスも楽しみに加わる。いまなら、三河のリアル大河ドラマにあなたも加われる。

(文・今尾直樹　写真・花村英典)