歴史のマイルストーン ベントレーMkVI(2) 穏やかなスタンダード・スチール・サルーン ホイールベースが生む個性の違い

公開 : 2026.09.20 17:50

ホイールベースの差が生む走り味の違い

その理由は、ホイールベースの差。グリーンの3-B-50は約3300mmで、リムジンと呼ぶのに相応しい、威厳ある落ち着いた走り味にある。ブラックのB119BGは250mmほど短く、身のこなしが軽い。カーブでは、ドライバーを中心に旋回するよう。

モンテカルロ・ラリーへMkVIで参戦したマイク・クーパー氏は、「ステアリングやブレーキは秀抜。凍結路でクルマが滑っても、リアが流れるだけです。フロントが外へ逃げることは、決してありませんでした」と、後のレポートに記している。

ベントレーMkVI スタンダード・スチール・サルーン(1946〜1952年/英国仕様)
ベントレーMkVI スタンダード・スチール・サルーン(1946〜1952年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

相性の良い運転スタイルは、トラッドなもの。手前でしっかり減速し、変速も終えてカーブへ侵入。ボディを落ち着かせながら、アクセルペダルの操作でラインを整え、一気に加速するという手順が望ましい。相当なペースで、ワインディングを駆け回れる。

現代の交通にも、充分適応できる。だが、フロントにサーボ付きの油圧ドラムが採用されていても、ブレーキの弱さは念頭に置く必要がある。

違いのわかる人は強く共感できるMkVI

ベントレーの長い歴史において、マイルストーンとなったMkVI。合理的な理由から着想され、傑出の設計が施されているが、過小評価されてきた1台でもある。

戦前のモデルのような勇ましさはなく、1950年代後半のRタイプ・コンチネンタルに並ぶ主張もないからだろう。それでも、違いのわかる人は強く共感できるらしい。

ベントレーMkVI 1939年のプロトタイプから1947年の量産仕様まで
ベントレーMkVI 1939年のプロトタイプから1947年の量産仕様まで    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ロールス・ロイスとベントレーの専門ディーラー、P&Aウッド社を率いるアンドリュー・ウッド氏は、所有するシルバー・ゴーストとMkVIに対し、2003年のインタビューでこう答えている。「同社が製造した中で、最高の2台といえましたね」

協力:スティーブン・カッツ氏、ベントレー・モーターズ社、H・ホースフィールド&サン社、ザ・リアル・カー社
執筆:アンドリュー・フィーバー(Andrew Feaver)

ベントレーMkVI スタンダード・スチール・サルーン(1946〜1952年/英国仕様)のスペック

英国価格:2997ポンド(新車時)/4万ポンド(約860万円)以下(現在)
生産数:5201台
全長:4864mm
全幅:1753mm
全高:1638mm
最高速度:160km/h
0-97km/h加速:15.2秒
燃費:6.0km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1793kg
パワートレイン:直列6気筒4257・4566ccc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:148ps/4000rpm-158ps/4000rpm
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:4速マニュアル・4速オートマティック/後輪駆動

ベントレーMkVI スタンダード・スチール・サルーン(1946〜1952年/英国仕様)
ベントレーMkVI スタンダード・スチール・サルーン(1946〜1952年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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