知っているようで知らない『自動車オイル』の現実 日本で当たり前の『0W-20』が欧州ではまだ珍しい シェルの研究所で聞いた奥深さとは

公開 : 2026.09.16 17:05

共通の粘度規定と、国や地域で異なる品質の規格

では、量産車における自動車オイルのトレンドは今、どうなっているのだろうか。

冒頭でも紹介したように、低温、高温の双方で粘度が低い自動車オイルが日本の自動車メーカーで主流になっているのが実情だ。

日本独自規格『JASO』の省燃費ファイアリング試験の様子。
日本独自規格『JASO』の省燃費ファイアリング試験の様子。    シェル・ルブリカンツジャパン

なお、米自動車技術者協会(SAE)がSAE J300で規定する粘度グレードの表記は、低温と高温で粘度グレードを示すマルチグレード方式を採用している。品質の規格については、欧州ではACEA、日米ではAPI SQやILSAC GF-7があるほか、日本独自規格JASOのGLV-1、GLV-2がある。

このように品質の規格に違いがあるのは、国や地域で自動車メーカーが求めるエンジンやモーターの技術に方向性の違いがある影響だ。

時計の針を戻せば1980年代、欧州では高回転と高出力化、アメリカは大排気量でのトルクと快適性、そして日本は高品質と安全を重んじてきた。

その後、日本では1990年代にVVT、ターボ、リーンバーン、2000年代にはハイブリッド車の普及、低摩擦化、高効率燃料、2010年代はハイブリッド車が主流で高圧縮比やEGR活用、そして2020年代に入ると多様な電動化として、HEVやPHEVによる高効率エンジンに注力するというトレンドチェンジがあった。

こうした中、ユーザーは『新車充填オイル』を基本として、自身のクルマの使い方に合わせてオイル選びをするのも一案だろう。特に、旧車では自動車オイルによりエンジン性能の差がはっきり出ることも考えられる。クルマと会話しながらのオイル選び、これまた楽しい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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