ブガッティ・シロン超えの1606ps 『デンツァ Z レーシング』 BYDの上級銘柄によるフラッグシップEV 意識したのはポルシェ911

公開 : 2026.09.15 18:05

3モーターでブガッティ・シロン超えの1606psを叶えた、デンツァ Z レーシング。加速力は圧巻でも敏捷性は今ひとつ? BYD上級銘柄のフラッグシップモデルを、UK編集部がグッドウッドで試しました。

アルファ・ロメオのデザイナーが描いたボディ

BYDの上級ブランド、デンツァは、7シーターのMPVにシューティングブレーク、ラダーフレームのオフローダーまで、多様なバッテリーEVを擁する。しかし開拓を進める欧州市場では、見た目や体験での一貫性の薄さが、懸案材料になっている。

ブランドイメージの向上には、それらをまとめられる力強いリーダー的存在が必要になる。そこで開発されたのが、電動スポーツカーの「Z」だ。

デンツァ Z レーシング(欧州仕様)
デンツァ Z レーシング(欧州仕様)

ロー&ワイドで、イタリアっぽさも香るスタイリングを担当したのは、BYDのデザイン主任へ就任した、ヴォルフガング・エッガー氏。アルファ・ロメオ 8Cを手掛けた人物として、ご存じの方はいらっしゃるはず。

トリプルモーターによる圧倒的な動力性能を秘め、ライバルに掲げるのは世界最高峰のスポーツカー。デンツァの技術者は、2+2のフラッグシップを生み出すに当たり、ポルシェを強く意識したことを隠さない。ただし、それは4ドアのタイカンではなかった。

3モーターでシロン・スーパースポーツ超えの1606ps

親会社となるBYDは、市場屈指の電動パワートレイン技術を有する。大部分は自社開発とされ、その事実をアピールする手段を求めることは、当然だといっていい。

Zのリアには、462psを発揮する永久磁石モーターが2基。フロントには、680psのユニットが1基。システム総合での最高出力は、1606psに達する。ブガッティ・シロン・スーパースポーツより、6psだけだが上回る。

デンツァ Z レーシング(欧州仕様)
デンツァ Z レーシング(欧州仕様)

プラットフォームは、BYDのe3。スーパーカーで多いモノコックタブ構造ではなく、ポルシェ911のようなユニタリー構造を採用する。大きな部材を1度の鋳造工程で生み出す、ギガキャスト技術を用いることも特長だろう。

駆動用バッテリーは自社製のLFPセルで、容量は76.0kWh。ケースがシャシー剛性の一部を担い、軽量化へ配慮されたが、車重は2250kgとスポーツカーとしては軽くない。

英国で売られる中国車では歴代最高額の「Z レーシング」

ボディスタイルはクーペとスパイダーのほか、今回試乗したウイング付きのレーシングという3種類。マンタイキットで武装したポルシェ・タイカン・ターボGTから、ニュルブルクリンクの量産EV最速記録を奪うため作られた、特別仕様も少数提供される。

英国でのお値段は、クーペが14万2900ポンド(約3072万円)からで、レーシングは17万2900ポンド(約3717万円)。これは、911の高性能仕様と重なる価格帯といえ、英国で売られる中国車としては、歴代最高額となる。

デンツァ Z レーシング(欧州仕様)
デンツァ Z レーシング(欧州仕様)

Zのレーシングでは、サスペンションにエアスプリングではなくスチールコイルが組まれ、磁性流体ダンパーも装備する。セミスリックタイヤの指定も、可能だという。

今回はグッドウッド・サーキットで、Z レーシングへの試乗が許された。ウォームアップ・ラップ後に、1周だけ全開で。勝手にドライブモードを変えたり、推奨スピードを超えないよう、監視役も助手席に同乗していたが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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