どんな人でも共感しやすいクルマ フォルクスワーゲンID.4 プロ(2) シンプル&モダンな操作性 定番で賢明な選択肢

公開 : 2026.10.08 18:10

グループ全体での最多売EV、フォルクスワーゲンID.4。物理スイッチとMIBシステムで車載機能の操作性は改善され、反応を予想しやすく、道を問わない扱いやすさがあります。UK編集部が2026年仕様へ試乗です。

Dを選びステアリングを握り、アクセルを傾けるだけ

発売から6年目を迎える、フォルクスワーゲンID.4。エントリーグレードでも、充分なパワー感でスムーズに走れるのが魅力だろう。停止状態から即時的にトルクを得られるため、特に50km/hまでの加速力には、まったく不満はないといえる。

それでも、強力な駆動用モーターと大容量のバッテリーを積んだ仕様の方が、英国では主力。286psと79.0kWhという構成の試乗車、プロ・グレードの場合、0-100km/h加速を6.7秒で処理する。高速道路への合流などは、余裕綽々といっていい。

フォルクスワーゲンID.4 プロ・ブラックエディション(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4 プロ・ブラックエディション(英国仕様)

操縦系はシンプルにデザインされ、ドライブモードを切り替えるボタンや、回生ブレーキを調整するパドルはナシ。Dモードを選び、ステアリングを握り、アクセルペダルを傾けるだけで安楽に走れる。

デフォルト状態では、センサーやナビのデータをもとに、回生ブレーキの効きは自動的に変化。交差点では減速が強くなり、円滑な流れなら惰性走行できる。他方、Bモードを選べば回生ブレーキを強められ、ワンペダルへ近い減速感にも設定できる。

反応を予想しやすく道を問わず扱いやすい

峠道を積極的に駆け回りたいタイプではないものの、可変レシオのステアリングの反応は予想しやすく、姿勢制御は終始安定。ID.4は、道を問わず扱いやすい。

重心が低いことで、回頭性は機敏。後輪駆動レイアウトの素直な挙動が、この特徴を強めている。カーブで限界が迫ると、スタビリティ・コントロールがモーターの出力を絞るが、そこへ至る旋回速度は相当に高い。ボディの高さを、感じる場面はあるけれど。

フォルクスワーゲンID.4 プロ・ブラックエディション(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4 プロ・ブラックエディション(英国仕様)

市街地での取り回しの良さは、確かな強み。最小回転直径は10.2mと、ひと回り小さなモデルのように小回りが効く。

気になったのが、後輪駆動となるシングルモーターの場合、回生ブレーキの反応が僅かに鈍いこと。ブレーキペダルを踏んだ際、制動力の立ち上がりがワンテンポ遅れ、感触が不意に柔らかくなることもあり、反応の一貫性は高めてもいい。

20インチ・ホイールでも概ね良好な乗り心地

乗り心地は、20インチ・ホイールでも概ね良好。荒れた路面でも、粗野にボディが揺さぶられることは殆どない。走行中の静寂性も褒められ、洗練度は高い。

アダプティブダンパーが組まれる、ダイナミック・シャシー・コントロール(DCC)はオプション。ソフトウエアとセンサーに改良を受け、従来以上に滑らかな乗り心地を実現している。英国では、GTXグレードのみの設定だが。

フォルクスワーゲンID.4 プロ・ブラックエディション(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4 プロ・ブラックエディション(英国仕様)

試乗車は、79.0kWhのバッテリーを積むプロ・グレードのブラックエディションで、複合的な条件を走らせた航続距離は約480km。英国価格4万5000ポンド(約936万円)前後のEVとしては競争力のある数字ながら、明確な強みになるほどではないだろう。

急速充電は、最大185kWまで。バッテリーが58.0kWhの場合は、105kWまでとなる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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