グループ最多売EVが小改良 フォルクスワーゲンID.4 プロ(1) メルセデス Eクラスへ匹敵の後席空間 高速化したタッチモニター

公開 : 2026.10.08 18:05

グループ全体での最多売EV、フォルクスワーゲンID.4。物理スイッチとMIBシステムで車載機能の操作性は改善され、反応を予想しやすく、道を問わない扱いやすさがあります。UK編集部が2026年仕様へ試乗です。

フォルクスワーゲン・グループ全体での最多売EV

車名がフォルクスワーゲンIDティグアンへ改称されるID.4の役割は、そろそろ終わろうとしている。IDポロを筆頭に、今後は新たなコンセプトで同社のバッテリーEVは展開されることになる。

それでも、2021年に英国での提供が始まったID.4は、フォルクスワーゲン・グループ全体での最多売EVとして、重要な役目を果たしてきた。兄弟モデルといえるID.5と合わせれば、計18万2000台がラインオフしている。

フォルクスワーゲンID.4 プロ・ブラックエディション(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4 プロ・ブラックエディション(英国仕様)

人気を得た理由の1つが、大きすぎないクロスオーバーという成り立ち。そのかわり、ライバルは少なくなく、競争力を保つためアップデートが重ねられてきた。発売時から装備は改められ、パワートレインの選択肢は増え、航続距離も伸ばされている。

航続距離はピュアで426km、プロでは564km

現在の英国で提供されるID.4では、駆動用バッテリーは3種類。容量は従来より僅かに増えており、シングルモーターのピュア・グレードは58.0kWh、プロには79.0kWhが搭載される。ツインモーターの4モーションとGTXには、77.0kWhが組み合わされる。

リアの駆動用モーターは、サルーンのID.7譲りとなるAP550ユニットへ置換された。プロの最高出力は286psで、4モーションでは300psへ上昇する。2026年仕様の航続距離は、ピュアで426km、プロでは564kmが主張される。

フォルクスワーゲンID.4 プロ・ブラックエディション(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4 プロ・ブラックエディション(英国仕様)

サスペンションは、前後ともコイルスプリングが支える独立懸架式。19インチ・ホイールが、殆どのグレードで標準となる。DCCアダプティブダンパーとプログレッシブ・ステアリングは、GTXのオプションだ。

丸みを帯びたスタイリングは、際立つ美しさとまではいえないとしても、締りがあり個性もあり、親しみやすい。サイズはボルボXC60よりひと回り小さく、MEBプラットフォームを共有するID.3より、ホイールベースとトレッドは拡大されている。

物理スイッチとMIBシステムで操作性は改善

インテリアは、他のID.シリーズと多くの共通点を見つけられる。ダッシュボードは、フォルクスワーゲン・ゴルフと印象は近いが、デザインはミニマリスティックで、先進性が醸し出されている。物理スイッチの少なさに、抵抗がある人はいるかも知れない。

ステアリングホイールには、これまでメディアやクルーズコントロールの操作用として、タッチセンサーが用意されていたが、2026年仕様では物理スイッチへ変更されている。シフトセレクターはステアリングコラムから伸び、操作性が良くなった。

フォルクスワーゲンID.4 プロ・ブラックエディション(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4 プロ・ブラックエディション(英国仕様)

タッチモニターは、2025年の小改良で12.0インチへ拡大。システムもMIBへ更新され、メニューはデザインし直され、主要機能の操作性が改善している。音量や温度を変更できる画面下部のタッチセンサー「スライダー」には、イルミネーションが内蔵された。

MIBの反応は素早く、フリーズも大幅に減少。トップレベルで直感的に扱えるとまではいえないものの、全体的に使い勝手が向上したといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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