ID.4のクーペな兄弟 フォルクスワーゲンID.5へ試乗 僅かに伸びる航続 伝わる堅実なクルマ作り

公開 : 2025.05.04 19:05

ID.4より僅かに航続距離の長いクーペの兄弟 インテリアはほぼ同じ 鋭さはなくても扱いやすいパワートレイン 後輪駆動らしい素直な操縦性 非常に静かな車内 英編集部が評価

僅かに航続距離の長いクーペのID.5

SUVが、背を高くしたステーションワゴンのようなボディ1択、という時代は終わった。もちろん、ボクシーなモデルの支持率も低くはない。しかし、クーペ風のボディも劣らない人気を集めている。フォルクスワーゲンID.5のように。

ID.5は、ID.4の発売から1年後に追加された兄弟モデル。プラットフォームに電動パワートレイン、デザインテーマなど、多くを共有している。だがバッテリーEVの場合、滑らかに空気を掻き分けられるクーペの方が、エネルギー効率を伸ばせる可能性は高い。

フォルクスワーゲンID.5 スタイル・プロ(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.5 スタイル・プロ(英国仕様)

英国市場で選べるID.5は、52kWhの駆動用バッテリーを積む、リアモーターで169psのピュアがエントリー仕様。航続距離は360km、0-100km/h加速は9.0秒がうたわれる。

プロは77kWhへ増量し、286psへ増強され、航続距離は553km。0-100km/h加速は6.7秒へ短縮される。トップグレードがツインモーターで339psのGTXで、79kWhに増え、航続距離は526km。0-100km/h加速は、5.6秒が主張される。

ボディの空気抵抗を示す数字は、確かにID.4より僅かに低い。Cd値は0.26で、0.02だけだが抑えられている。そのおかげで、航続距離は8kmほど長い。

スタイリングは、若干薄味なことは否めないものの、丸みを帯びていて好感を抱きやすいはず。アグレッシブな処理が増える昨今、評価したいテイストだと思う。

インテリアはID.4と同じ 荷室は6L広い

インテリアは、基本的にID.4と同じ。人工皮革巻きのステアリングホイールには、うっかり触れがちなタッチセンサーが備わる。メーター用モニターは5.3インチ。アンビエントライトが、テクノ感を醸し出す。

エアコンの温度調整などは、10.0インチのタッチモニター下部にあるタッチセンサー、スライダーで行う。イルミネーションが内蔵され、夜間でも見やすくなったが、やはり実際に押せるハードスイッチの方が操作はしやすい。

フォルクスワーゲンID.5 スタイル・プロ(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.5 スタイル・プロ(英国仕様)

車載機能の殆どは、タッチモニターで操作する。これは、オプションで12.0インチへ拡大できる。ヒーター内臓のフロントシートとフロントガラスは、標準装備。インフォテインメント・システムは、近年のバージョンアップで大幅に安定性が増した。

内装の素材は、質感が当初より良くなっている。ミニマリスティックなデザインだが、広々としていて居心地は良い。後席側も開放的で、高身長の大人が2名、問題なく過ごせるはず。SUBポートも、2つ付いている。

クーペ・ボディでも、荷室容量はID.4より6L多い549L。実は、全長は15mmほど長い。それでも、リアウインドウは寝かされており、かさばる荷物が当たる可能性はある。ちなみに、BMW iX2は525Lだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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