ステアリングが伝えてくれる情報量は、もっとも快適なセッティングを選んだ時でさえ先代より多くなっている。テスト車はアウディ内製のドライブ・セレクト・システムを組み合わせていたため、スロットル／ステアリング／Sトロニック・ギアボックスのレスポンスや重みも任意で変えることができた。

‘ダイナミック’ を選ぶと、不必要な抵抗が生じ、結果的にナチュラルではなくなるのだが、それぞれのモード間の変化はわかりやすい。

アウディのテクニカル・チーフであるウルリッヒ・ハッケンバーグは ‘コンフォート’ がお好きとのことだが、われわれもその意見に賛成である。

前輪駆動であることを知ったうえでのハンドリングはBMWを怯えさせるほどではないにしても、どっしりと安定していると感じた。

■「買い」か?

マイナーチェンジしたばかりのBMW 3シリーズやメルセデス・ベンツCクラス、ジャガーXEなどが次々に現れたことで、ますます戦いが激化するクラスであるだけに、アウディは失敗が許されない。

しかし喜ばしいことに、一足先に味わった新型A4は、おそらくこれから先にわれわれを落胆させるようなことはなさそうだ。飛ぶように売れた先代がつくりあげたテンプレートを慎重になぞり、かつ隅々までていねいに仕上げられていることがわかった。

なるほど新型と言えども、先代から大きく変えなかった点は、われわれに安心感を与えてくれるのだ。それに、そこかしこから高級感がにじんでいるインテリアや、テクノロジーの数々はこのクラスのクルマを検討している人々の多くを虜にするはずだ。

運転をしたときの喜びを重視する人々にとっては、現時点ではBMW 3シリーズやジャガーXEが望ましいことには変わりないが、動力性能が高まっているのも事実だ。

エンジンのパフォーマンス、燃費性能、CO2エミッションを見るかぎり、社用車としての購入を考えている人々にとっても魅力的だといえる。

今年の終わりに行う英国内でのテストでは、わが国の路面でどのような評価を得られるか。はたまた右ハンドルにすることによって、素性の良さが損なわてていないかを調べるつもりだ。

現時点でもポジティブな印象が多いだけに、今から年末のロード・テストが楽しみでならない。

(マット・バート)

アウディA4 2.0 TDI 190

価格	£31,500(608万円)
最高速度	237km/h
0-100km/h加速	7.7秒
燃費	24.4km/ℓ
CO2排出量	107g/km
乾燥重量	1430kg
エンジン	直列4気筒1968ccターボ・ディーゼル
最高出力	191ps
最大トルク	NA
ギアボックス	7速デュアル・クラッチ