アウディ次期A4、新デザイン『ラディカル・ネクスト』採用 2028年投入か

公開 : 2025.10.08 17:45

アウディは、人気モデル『A4』のEV版を2028年以降に市場投入する見通しです。ソフトウェア中心の次世代技術と新しいデザイン哲学を採用し、次期BMW 3シリーズやメルセデス・ベンツCクラスとの競争に備えます。

激化する市場競争に対応

アウディは、2028年頃に発売予定の次期『A4』で、新プラットフォーム、次世代ソフトウェア、そしてTTから着想を得た印象的な新デザインを採用する。EV版BMW 3シリーズメルセデス・ベンツCクラスに対抗すべく、着々と準備を進めている。

EV版となるA4 eトロン(仮称)は、最近公開された『コンセプトC』で示される新しいデザイン哲学『ラディカル・ネクスト』に基づき設計される。アウディがソフトウェア定義型車両(SDV)へ転換する上で重要な役割を担うことになるだろう。

次期A4のデザインは、コンセプトC(画像)から影響を受けることになる。
次期A4のデザインは、コンセプトC(画像)から影響を受けることになる。    アウディ

アウディのCEOであるゲルノート・デルナー氏は、EV版A4の開発についてAUTOCARに認めた。同氏は、「当社史上最大の変革」として製品ラインナップ、デザイン言語、企業構造、そして戦略的展望を「完全に再構築」しようとしており、A4の発売もその一環だと説明した。

すでに、販売台数の減少とコスト増に対応するため、物議をかもしたモデル命名戦略を撤回し、収益性の低いモデルラインの削減を約束。そして世界的なコスト削減策の一環として、数千人規模の人員削減に乗り出している。

デルナー氏は将来の見通しについて「前向き」としたが、米国の輸入関税と世界的なEV需要の低迷が業績に重くのしかかり、「2025年がこれほど厳しい年になるとは予想していなかった」と述べた。こうした状況の中、A4のような今後の新モデルの重要性は一層高まっている。

「2026年末までにモデルラインナップを完成させることを踏まえ、今後数年間の見通しについては非常に前向きです」と同氏は述べ、「ラディカル・ネクストデザインをアウディのラインナップに導入する」取り組みを進め、それ以降には「より魅力的な製品」が登場するとした。

先進的なSSPへ移行

A4は人気があり、認知度も高い。アウディは数年前からEV版A4の開発を進めていると見られていたが、同社幹部はこれまで、その計画を公式に認めたことはなかった。

競合他社から新型のEVセダンが間もなく登場することを受け、EV版A4の必要性は高まっているかという記者の質問に対し、デルナー氏は次のように答えた。

従来型のアウディA4
従来型のアウディA4

「当社ではA6 eトロンが『ミドルセグメント』に位置づけられ、A4セグメントの多くの顧客層に対応しています。しかし、EVのA4に焦点を当てているということについては、ご指摘の通りです」

デルナー氏はさらに、「(A4は)未来のプラットフォームを採用した、未来のアウディ車となるでしょう」と続けた。そして、この未来のプラットフォームとは、フォルクスワーゲン・グループが展開する新開発のスケートボード型プラットフォーム『SSP』のことであると明らかにした。

つまり、2028年まで発売はされないということになる。SSPは同年以降、次期ゴルフなどフォルクスワーゲン・グループ傘下の各ブランドの量産車に採用予定となっている。

また、EV版A4は、アウディがポルシェと共同開発したPPEプラットフォームを採用している既存のA6 eトロンとは構造的にほぼ無縁となる。

当初、この2車種は従来の内燃機関搭載A4とA6と同様に、内部構造を共通化するだろうと予想されていた。しかし、新世代ハードウェアへの移行により、EV版A4は高度なアーキテクチャーを採用する3シリーズやCクラスとの競争力を高めることができそうだ。

フォルクスワーゲン・グループはSSPベース車の性能目標を明示していないため、次期A4 eトロンの実力は現時点では未知数だ。ただし、EVの3シリーズおよびCクラスは最大で約800kmの航続距離と300kW超の急速充電能力、そして400ps台の出力を擁する見込みだ。したがってアウディも同等のスペックを備えると予想される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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