BMW 730d

公開 : 2015.08.28 23:50  更新 : 2017.05.23 10:25

あたらしいシートに身をおさめてからは、特にそれが伝わってくる。前後ともにより柔らかくなったクッションは、そのことを強く伝えてくる。前後のエア・スプリングも同様だ。

ダンピングもフル・タイムの可変式。セルフ・レベリングは常に車高を調整しつづける。35km/h以下では最低地上高を20mm上げ、スポーツ・モードではしかるべき速度にて車高を10mm下げる。

‘エグゼクティブ・ドライブ・プロ’ をオプションで選べばエレクトロ-ハイドロ・ロールバーもつく。先代の油圧式よりもダンピング制御の動作を速めるこれは、ボディ・ロールを瞬時に抑える役割を果たす。

エンジンのもたらす印象は筋肉質で、心から満足できる洗練性を持ちあわせる。一気に床までアクセルを踏み込めば、エンジンは瞬時ににパワーを与えてくれる。そこからは淡々と速度を積みあげていく。

マニュアル・モードを選んで低いギアを維持すれば、聴き心地のエンジン音が控えめに耳に届き、変速を機械側に任せれば、エンジンがうるさくなる前にパタパタと上のギアにつないでくれる。なめらかな所作だ。

高速巡航域をもっとも得意とするのは今さらいうまでもないだろう。ミラー起因のウインド・ノイズはミニマル。ローエンドの力強いトルクとロング・レシオなギアのおかげで、静かに、そして伸びやかに走りゆく。

オプションの ‘ドライバー・エクスペリエンス・コントロール’ を選べばコンフォート・プラス・モードがつく。その他にもコンフォート/スポーツ/アダプティブが選べる。

コンフォート・プラスを選べば、先代よりもはるかに静かでスムーズになっていることに唸らされる。サスペンションは路面のザラつきをまるっと飲み込むおかげで、道路というよりも水面を走っている感覚にちかい。

仮にスポーツ・モードにしてもふわりと柔らかな乗り心地は維持される。ダンパーの仕立ては百点満点。やわらかでありながらボディを御しやすく、驚くほどのグリップ・レベルも確保されている。

サスペンションは各10kg、合計で40kgもの軽量化に成功。前後重量配分は完璧な50:50となる。ルーフ周辺のダイエットのおかげで、重心高が下がったことも乗り味に影響を与えている。

あたらしいエレクトロ-メカニカル・ステアリングも操舵特性を底あげしているし、市街地では前輪と同方向に3°、オープンな道では前輪と逆方向に2°後輪をステアするシステムも軽やかな乗り味の手助けとなっている。

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