ただ、既にテストしたことのあるプロトタイプと比べると低速域のステア・フィールは格段によくなっている一方で、速度が増していくとアシストが介入的になり、やや重みも増しすぎる傾向にあるのは否定しない。

インテリアは高価なマテリアルをはじめとして38年の7シリーズの歴史のなかで最高のレベルに達している。モードによって変わるデジタル・メーターやマルチ機能ステアリング、タッチ式のエアコン・コントローラー、改められたスイッチなど、どれをとっても一級品である。

オプションの ‘ナビゲーション・システム・プロフェッショナル’ の一部である5代目iDriveは新式のタッチパッドとタッチスクリーンを備える。スマートフォンと同様ピンチ／ポイント／スワイプによって操作できるうえセンター・コンソール上のロータリー・ダイアルも使えるため、思いどおりにオペレートできるのもいい。

ジェスチャー・コントロールは初めて導入されたシステムのひとつ。ヘッドライニングに3Dセンサーを備えるこれは、ステレオのボリューム調整や電話の通話／切断が可能。まだまだ改善の余地があるが、音声コントロール・システムも内包する。

ホイールベースは変わらないが、ディメンションが変わっているゆえ前後のスペースも増している。特にロング・ホイールベースのモデルは、ファースト・クラスさながらの足元の広さであった。

■「買い」か?

買わない理由を挙げるほうが難しい。

外観こそ強烈な ‘引き’ はないが、インテリアの質感やスペース、技術満載のアンダーピニング、また一歩未来へと近づいたオプション機能など、先代よりも飛躍的に成長しているだけではなく、A8やXJ、Sクラスを本気で恐れさせるレベルに達している。

特に730dは、強烈なまでのパフォーマンスや驚くほどの洗練性、秀でた経済性を見事に両立させている。やわらかな乗り味であるにもかかわらず、機敏な身のこなしをする点も加点ポイントだ。

ただしオプションの選択は慎重に。欲張りすぎると£64,530(1,204万円)のベース価格は、あっという間に恐ろしい価格に膨れあがってしまう。

(グレッグ・ケーブル)

BMW 730d

価格	£64,530(1,204万円)
最高速度	249km/h
0-100km/h加速	6.1秒
燃費	22.2km/ℓ
CO2排出量	119g/km
乾燥重量	1755kg
エンジン	直列6気筒2993ccディーゼル
最高出力	265ps/4000rpm
最大トルク	63.2kg-m/2000-2500rpm
ギアボックス	8速オートマティック