フェラーリ488スパイダー

公開 : 2015.10.14 23:50　　更新 : 2017.05.29 18:52

GTBとスプリング・レートを共有することにより、屋根を開けた際の身のこなしにもヤワなところはない。458スパイダーで指摘された安定感の不足はカバーされており、新たなピストン・ロッドとECUを採用したSCM 3磁気粘性流体ダンピング・システムのもたらす安心感も底あげされている。

フェラーリいわく、ねじれ剛性はクーペと肩を並べるレベルにあるのだそうだ。事実、マクラーレン 650Sに比べても大きく遅れをとっているとは感じない。数値を知っていれば、488スパイダーの方が少し劣るかなという程度だ。

コーナーにおける印象はクーペの488と瓜ふたつ。自分の下で、どのようなことが起こっているのかが手に取るようにわかる。アンダーステアの避け方は相変わらずやや人工的ではあるものの、安定感と柔軟性はトップ・レベル。

いかなる状況であろうとステアリングの重みやダイレクト感がブレることはなく、与えてくれる情報量も多い。

■「買い」か?

もちろん買い。488GTBが458と別の次元にあるのと同じように、488スパイダーは458スパイダーと大きく異なっている。

エンジンゆえ快楽主義者は以前ほど喜ばないかもしれないが、速度を問わずにスリルを味わえるのはフェラーリならではの芸当である。

モダン・スーパーカーのベンチマークであることは間違いなく、488スパイダーはさらに基準値を高めたといっていい。

(ニック・カケット)