稼ぎ頭で大勝負へ ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック(2) 圧倒的パワーでも圧巻の扱いやすさ もう少し欲しい持久力

公開 : 2026.11.05 18:10

EVとなったポルシェ・カイエン。ターボなら1156psで0-100km/h加速2.5秒。基礎骨格をアウディQ6 e-トロンと共有し、カーブへ飛び込めば素晴らしい操縦性。持久力は物足りず。UK編集部が試乗。

ベースグレードの442psでも0-100km/hは4.8秒

ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリックの1156psを召喚できるのは、ローンチコントロール時のみ。2026年の英国では無駄に思えそうだが、実際に短時間なら開放は可能。ドライブモードがスポーツプラスなら、1000馬力以上が常に控えている。

パワートレインの制御は極めて巧妙で、速度上昇は驚くほど漸進的。アクセルペダルの角度を増すほど、加速力も増大していく。路面が平滑なら、ワープするように。

ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック(英国仕様)
ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック(英国仕様)

カイエン S エレクトリックの666psでも0-100km/h加速は4.0秒以下で、まったく不満はない。むしろ、新しいカイエンへ求める動力性能として、これ以上は必要ないと思わせる。ベースグレードの442psでも100km/hまで4.8秒と、充分以上だろう。

コンフォートやノーマル・モード時は、心が奪われるほどの洗練度。枯山水を眺める和室のような、静けさでもある。22インチのミシュラン・タイヤはロードノイズを放つものの、駆動用モーターはほぼ無音。風切り音も、見事に抑え込まれている。

カーブへ飛び込めば素晴らしい操縦性

ブレーキは、オプションのセラミックディスクを選ばずとも、バッテリーEV最高水準。ペダルの感触は、ポルシェ・タイカンの方がダイレクトだが。回生ブレーキは、タッチモニターかステアリングホイールのノブでドライブモードを変えると、強さが変化する。

感心するのが、アクセルとブレーキの両ペダルの踏み込みに対する反応。常に、ドライバーが意図した通りといっていい。

ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック(英国仕様)
ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック(英国仕様)

試乗車にはポルシェ・アクティブライドが実装され、コンフォート・モード時はボディをフラットに保つ一方、僅かな不自然さも伴った。ステアリングホイールを回し始めると、アクチュエーターによるボディの制御を、仄かに感じ取れる場面がある。

恐らく、システムの動きがわかるよう、あえて設定されたのだろう。とはいえ瞬間的なもので、カーブへ飛び込めば素晴らしい操縦性で応える。エンジン版カイエンへ敏捷性で多少劣っても、安定し回頭性は鋭い。グリップ力も頼もしい。

圧倒的なパワーでも圧巻なほど扱いやすい

スポーツやスポーツプラス・モードで、秘めたポテンシャルを発揮させるには、相応の環境が必要ではある。それでも、巨大なSUVが積極的にコーナリングすることを体感すると、言葉を失ってしまう。路面の凹凸で、乗員は揺さぶられがちだが。

甚大なパワーがリアタイヤへ伝わり、左右へ巧妙に分配されつつ、直線へ向けて押し出される感覚は爽快そのもの。圧倒的なパワーでありながら、圧巻なほど扱いやすい。公道では大きさと重さが足かせとなり、こんな機会は得にくいとしても。

ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック(英国仕様)
ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック(英国仕様)

ただし、ステアリングの反応は期待ほど鋭くなく、情報量も従来のカイエンほど濃くはない。操縦性の魅力やドラマチックさ、落ち着きでも、届かないことは確かではある。

コンフォート・モードに戻せば、非常に快適な乗り心地を享受できる。またアダプティブ・エアサスペンションのPASMを組むと、快適性と姿勢制御のレンジは拡大。フワフワと落ち着きに欠くこともなく、旋回時の挙動には一層のまとまりが出る。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    2006年より自動車ジャーナリストとして活躍している。AUTOCARを含む複数の自動車専門誌で編集者を歴任した後、フリーランスとして活動を開始し、多くの媒体で執筆を続けている。得意分野はEV、ハイブリッド、お菓子。2020年からは欧州カー・オブ・ザ・イヤーの審査員も務める。1992年式のメルセデス・ベンツ300SL 24Vの誇り高きオーナーでもある。これまで運転した中で最高のクルマは、2008年のフォード・フィエスタSTとアルピーヌA110。どちらも別格だ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリックの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

Google検索で『AUTOCAR JAPAN』の記事を見つけやすくする方法