想像よりは安いかも? フェラーリ488 チャレンジへ試乗 型落ちカップカーだけでレース

公開 : 2023.09.01 08:25

英国で始まった、少し古いフェラーリ・チャレンジカップカーによるレース。英国編集部が、488 チャレンジでその魅力を体験しました。

意外と安く乗れる古いチャレンジカップカー

フェラーリのレーシングカーへ乗るには、どの程度の予算が必要か想像したことはおありだろうか。走行距離の長い中古車を探してきて、ロールケージを溶接し、アフターマーケットパーツを組み込むなら、多少は安く手に入れられるかもしれない。

しかし、サーキットを前提にフェラーリ自らの手で設計され、丁寧に仕上げられたマシンなら? 恐らく、かなりの金額を想像するのではないかと思う。

フェラーリ488 チャレンジ(2016年)
フェラーリ488 チャレンジ(2016年)

実は、英国でのお値段は約6万ポンド(約1086万円)から。ポルシェ718ケイマンと、さほど違わない金額で我が物にできる。お手頃とはいえないものの、安さに驚かれた読者もいらっしゃるだろう。筆者もその1人だ。

クラシック・フェラーリのオーナーで英国にお住まいなら、フェラーリ・オーナーズクラブへ入会することで、定期的なサーキットイベントに参加できる。1970年代の308や、1990年代のF355などのオーナーが、快音を響かせながら楽しんでいる。

もっと資金が潤沢にあり、年式の新しい跳ね馬でレースへ挑みたいなら、フェラーリ・チャレンジというワンメイクレース・シリーズが開かれている。現在の共通マシンは、488 エボだ。

しかし、そんな予算を準備できる人はひと握り。ランニングコストも馬鹿にならない。

クラシック・フェラーリより速くタフなマシンを駆り、現実的な費用でサーキットを攻め込みたい、と願うドライバーは少なからずいる。英国の大手スポーツカー・ディーラー、ベルスポーツ&クラシック社は、そんな思いの実現に向けて動き出した。

楽しく非公式 新人ドライバーも大歓迎

同社のアイデアは、オーナーズクラブ・イベントとワンメイクレースの間に位置する、フェラーリだけのレースを開くこと。クラシックカーの範疇にはまだ入らない360 モデナから、現行の488 エボの間に作られた、チャレンジカップカーによるイベントだ。

複数のクラスが設定され、1度のイベントで通常は2回戦う。このレースへ参加できる最もお手頃なマシンが、2000年代初頭の360 チャレンジとなる。約6万ポンド(約1086万円)で、本物のレーシングカーのオーナーになれる。

フェラーリ488 チャレンジ(2016年)
フェラーリ488 チャレンジ(2016年)

もちろんフェラーリだから、3.6L V8エンジンは8500rpmまで颯爽と吹けがる。車重は1250kgで、最高出力は405ps。一般的なドライバーなら、これで満足できるだろう。

もっとパワフルなマシンがお望みなら、482psのF430 チャレンジというチョイスもある。予算を7万5000ポンド(約1357万円)まで増やす必要があるけれど。

570psの458 チャレンジも、10万ポンド(約1810万円)で選べる。最近まで現役だった488 チャレンジは、約15万ポンド(約2715万円)。想像ほど高くないな、とお感じではないだろうか。

ベルスポーツ&クラシック社が、このフェラーリ・レースで強調している点が、楽しく、非公式であること。新人ドライバーも歓迎だという。

同社の担当者、ピーター・スミス氏へお話を聞いた。「少なくないマシンのリアに、初心者であることを示すステッカーが貼られています。むしろ、大歓迎ですよ」

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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