3列めのシートに座るには体操選手ばりのアクロバティックな大勢を強いられるが、いざ座ってしまえば窮屈に感じない。2列めのスペースも十分だ。

3列めのシートを立てた状態であれば荷室容量は295ℓに限られてしまうものの、3列めを倒せば680ℓに、2列めまで倒せば2300ℓまで拡大できる。アウディQ7が1900ℓ、レンジローバーが2230ℓであるだけに、収容能力は誇っていい。

メルセデス・ベンツのV6ディーゼルは既におなじみのものとなりつつあるが、何度乗っても静止加速には驚かされる。回転域に依存しない柔軟性に富み、あらたな9速ATは高速巡航を極楽なものとする。

GL350 CDIの時代よりつづくユニットゆえ最初のデビューからまずまずの月日が経っているにもかかわらず、やはり1600rpmで63.2kg-mのトルクを発生するのもいい。ちなみに新式のオイル・バーナーの開発が進行中であり、2016年には紹介される予定だそう。

コンフォート・モードは、本当にディーゼルを搭載しているのか疑わしくなるほど加速はなめらかで音は静かだ。ストラクチャーそのものがノイズを吸収することがそう感じる理由であり、長い距離でもリラックスして走行できる。

ロータリー・スイッチを回してドライブ・モードを ‘スポーツ’ に変えるとディーゼル・エンジンから聞こえる音量はやや大きくなるが、洗練性は失わない。ギアボックスもできるかぎり低いギアを好み、最終減速比は0.60となる。

しかし迅速かつシルキーばアップシフトである一方、ダウンシフトは時に反抗的でゴツゴツする。

4WDシステムの4マティックのおかげでトラクションに不足を感じることはない。0-100km/hタイムは7.8秒。2455kgというスケールから考えると ‘俊足’ といっていいだろう。

燃料消費率は13.2km/ℓへと更新された。CO2エミッションも199g/kmまで減っている。標準の100ℓのタンクであれば、理論的には1448km走ることができる。牽引重量は引きつづき3500kgとなる。