BMW X1

公開 : 2015.12.21 23:50  更新 : 2017.05.23 10:24

■乗り心地とハンドリング

“コントロールはしやすいが、段差を超えるたびに感じる硬さは考えもの” ― マット・ソーンダース (ロードテスト編集補佐)

このクラスのクルマを買う層は、クロスオーバーとしてのユーティリティと、ハッチバックとしてのコントロールのしやすさと敏捷性、バランスを求める。

要するに、‘欲張りさん’ なのだが、BMW X1の場合、ハンドリング、グリップ、コントロールのしやすさ、反応のよさ等、満たしている部分が多いゆえ、どのライバルよりも洗練されていると感じる。

ただ、Mスポーツ専用サスペンションや ‘ダイナミック・ダンパー・コントロール’ を用いずとも乗り味はかなり硬い。コンフォート・モードでさえ、荒れた路面では、シートにばたばたと衝撃が伝わってくる。緊張感のあるボディの動きに対するトレードオフである。

操舵に関しては、‘バリアブル・スポーツ・ステアリング’ を組み合わせずとも、車体はスマートに向きを変え、速度域を問わず、安定している。程よいロールを生じながら、スロットルをオフにするとスッと向きを変える。いやなオーバーステアもフィルタリングしている。

サーキットに持ちこむと、グリップのおかげで怖いと感じることがない。スリップがはじまるとフロント・エンドからすべりはじめるのも予想どおりだ。

タイト・コーナーに飛びこんだ後の脱出時には、思ったより速くパワーが立ちあがる。トルク・ベクトリング・システムのおかげで負荷がかかっていない車輪にもパワーが伝わり、後輪から蹴りだす感覚が強い。その後を予期したうえでの挙動というよりも、反応を素早くすることで脱出を素早くしている印象だ。

スタビリティ・コントロールの介入は、とても控えめ。介入マナーも穏やかだ。オフにすると、コーナーを通してハッスルできる。不安になるようなグラつきはないものの、ややラフなところが楽しさを創出している。

しかし、動的には後輪駆動のサルーンやエステートほどの安定感とはいいがたい。同じようにバランスをとったり、同じように加速を試みたりすることがむずかしい。

一方でステアリングを介して伝わるフィードバックの情報選択はうまい。重み、一貫性はまずまずなのだが、前輪がどのような動きをしているかがわかりにくい。


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