乗り心地とハンドリングはA3とパサート優勢　ただ……

それに比べれば、A3とパサートの乗り心地とハンドリングは有能だ。2台のうちではVWの方がベターで、低速域での快適性と、高速域での安定性を併せ持つ。

アウディの運動性の魅力を削いでいるのは、わずかながら破綻しやすさのある乗り心地と、オーバーアシストのステアリングだ。

ただし、この2台の0-100km/h加速は同タイムで、ペースを上げた際のフィールは非常に似通っている。いずれも洗練され、爽快で、フレキシブルで、よく回るパワートレインを持ったクルマだ。しかし、いささか余韻に欠ける。

330eは、これまで乗った3シリーズの中でも最良の一台だった。これまでのところ、このBMWはわれわれの厳しい注文を扱いかねるような兆候は見せず、モーターの存在を忘れさせ、すべてのBMWと同じように操縦できて、3シリーズがいつもそうするのと変わらず期待に応えてくれる。

ペースを上げると、V60が重さに屈し、A3では退屈で、パサートも地味な走りを見せるのに対し、330eはほかの領域と同じようにモーターを存分に駆使して走る。

そのハイブリッド・ドライブトレインはスムースで、フル・パワーを発揮する際にも出力特性は過剰な演出がなく自然だ。トルク感がありすこぶるフレキシブルで、回転は鋭くサウンドも上々。不朽の名作というべき、かつての328iのようだ。

ハンドリングは素晴らしく、完全で、どこまで攻めても翳りを見せない。スタンダードな17インチ仕様のグリップ・バランスは完璧で、ボディ・コントロールは緻密。10年以上にわたり多くのBMWを悩ませてきた、ランフラット・タイヤの硬いサイドウォールに起因する騒音や振動も抑えられている。

結局、真に人々を魅了する走りというものは、PHVだろうがそうでないクルマだろうが変わらない、というのがわれわれの結論だ。

ただし、330eをウィナーに選ぶ理由はそれだけではない。