水中でも動く防水エンジン! ルノーとジーリーが共同設立、ホース・パワートレイン社が『B20』開発 水深1.1mまで走行可能

公開 : 2026.11.06 17:05

ルノーとジーリー(吉利)が共同設立したホース・パワートレイン社は、オフロード車向けの『B20』エンジンを開発しました。防水仕様によりハイドロリックロック現象を防ぎ、水深1.1mまで走行可能とされています。

ハイドロリックロック現象を防ぐ構造

内燃機関の内部に水を入れるというのは、おかしな話のように聞こえるかもしれないが、実際にはそうではない。例えば、非常に高性能なエンジンでは、水噴射によりノッキングを抑制し、ターボのブースト圧を高めたり、点火タイミングを最適化したりして出力を向上させることができる。

しかし、エンジン全体を水に浸すとなると、当然ながら話は変わってくる。9月初旬、ホース・パワートレイン(Horse Powertrain)社は水深最大1.1mで稼働可能で、ハイブリッド車にも適した防水型エンジン『B20』を発表した。

B20エンジン
B20エンジン    ホース・パワートレイン

また、勾配100%の登坂を含む、極端に高負荷がかかるオフロード環境下でも連続出力を維持できる。この2.0L直列4気筒エンジンは、条件に応じて190~252psの出力と30~38.7kg-mのトルクを発揮する。

エンジンに大量の水が侵入すると、瞬時に破壊されてしまう。ガソリンや水のような液体は圧縮できないため、気化する微細なミスト状であれば問題ないが、圧縮行程中にシリンダー内に大量に流入するとハイドロリックロック現象を引き起こす。ピストンが圧縮行程を完了できなくなり、深刻な損傷につながってしまう。

深い水の中を走行すること自体は珍しいものではなく、本格的なオフロード車ではエンジンに空気を供給するためにシュノーケルが使用されている。ただし、電気系統やその他の部品も考慮する必要があるため、浸水・水没は依然として大きな課題である。

防水規格IPX8に準拠 燃費重視の設計

B20エンジンは、防塵・防水規格(IP)の最高レベルの1つである「IPX8」を満たしている。燃費を重視して設計されており、ミラーサイクル技術を採用し、燃料の48%を機械的エネルギーに変換するという。高圧噴射と高タンブル吸気ポートにより理想的な空燃比を実現し、効率的な燃焼に寄与している。

ピストンは「スキッシュ(squish、押しつぶす)」効果を最大化するように設計されている。ピストンが上死点に達した際、ピストン上面と間にごくわずかな隙間が残るようになっている。ここで燃料と空気の混合気が文字通り押しつぶされる現象をスキッシュといい、これを活用することで燃焼効率を向上させている。

B20エンジン
B20エンジン    ホース・パワートレイン

B20エンジンはまた、排気マニホールドを一体化した剛性の高いガントリー型アルミニウム製シリンダーブロックと、洗練性を高めるための簡素化されたバランサーシャフトシステムを備えている。可変容量式オイルポンプにより、潤滑油の送油に必要以上のエネルギーを消費することを避け、燃料消費量を抑えている。

完全密閉構造と、エンジンとトランスミッション間に専用のシールを設け、IPX8規格の認証を取得している。電気部品やセンサーもIPX8規格に準拠している。エンジンが水没したことをセンサーで検知すると、制御システムが出力の制限やスロットルレスポンスの調整などの対応を行う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェシ・クロス

    Jesse Crosse

    役職:技術編集者
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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