シトロエンC3新型 構成シンプルながら仏らしく 1.2ガソリンも十分 日本試乗

公開 : 2017.10.07 10:40  更新 : 2021.03.05 21:43

どんな感じ?

3名+撮影機材 高速巡航でも不足なし

今回はシャインの広報車を借りて、信州の蓼科で開かれたあるクルマの試乗会に参加するための足としてC3を使ってみた。つまり、その長距離クルージングの能力を主として探ってみたわけだが、その結果は想像どおり、あるいは想像以上に良好だったといっていい。

運転席に収まると、ボディ形状から想像できるとおり着座位置はハッチバックとしてはやや高めで、シートを低く設定すると前方視界に分厚いボンネットを意識させられる。けれども、ステアリングにチルトだけでなくテレスコピックも備わる親切な設計ゆえ、自分の望むポジションが確実に得られるのが好ましい。

そこでまず東京都内を走った印象だが、ボディサイズのわりに軽いといえる1160kgの車重に対して、110ps/5500rpmと20.9kg-m/1500rpmを発生する1.2ℓ3気筒ターボと6段ATのもたらすパフォーマンスに不足はない、といえる。

当日は男3人にカメラマンの写真機材を積んでの走行だったが、C3は発進加速も不満のないペースでこなしてみせた。なかでも特に、2000rpm以下からも充分な蹴り出しを生み出す3気筒ターボエンジンの低速トルクの力感が印象的で、低回転からトコトコトコッという感じで加速する刹那には、ある種の快感さえ覚える。

高速道路に乗ると、印象は一段と好ましくなる。メーターの100km/hはDレンジのトップ6速で2000rpmプラスに過ぎないから、エンジン音は静かに保たれる。それでいて、前記の低速トルクの恩恵で、そこから踏んでも確実に加速するし、深くスロットルを踏み込めばATが即座にキックダウンして、望むだけの加速を振る舞ってくれる。

それと同時に、シャシーもいい仕事をしてくれる。サスペンション形式は一般的ながら、各部のセッティングが独特なのだろう、路面と隔絶したかのようなシトロエンらしい乗り心地を街中の低速から振る舞ってくれる上に、高速ではその妙味が一段と鮮明になる。

おそらくフランスのオートルートの法定最高速130km/hに照準を合わせた脚は、スピードを上げるにつれてフラット感を増すのに加えて、ステアリングも据わりの好さと手応えを増して、C3はクルマ自らが直進する意思を持つかのように真っ直ぐに突き進んでいく。

このボディサイズ、このエンジン排気量、それにこの価格帯のモデルでは、C3は最も高速クルージングの快適なクルマのひとつに違いないと、東京から蓼科まで往復した大半の区間のステアリングを握り続けて、僕は身をもって確信した。

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