特等席は2列目? BセグSUV日本唯一の3列7人乗り、新型『シトロエンC3エアクロス』 C3との作り分けに感心【森口将之が解析】

公開 : 2026.09.08 12:05

7月25日に日本導入が発表された、日本で販売されるBセグメントSUVとしては初となる3列シート7人乗りの『シトロエンC3エアクロス』を森口将之が取材します。2列シートC3の派生モデルではありますが、その作り分けは絶妙な様子です。

クロスオーバーらしさ、SUVらしさを強調

日本で販売されるBセグメントSUVでは、日本車を含めて初の3列シート7人乗り。そんな希少なパッケージを持つ新型『シトロエンC3エアクロス』であるが、上級グレードのマックス・ハイブリッドの試乗車を前にすると、2列シートのC3に似ていると思った。特に前から見ると、間違えてしまいそうなほど。

ボディサイズは全長4410mm、全幅1790mm、全高1660mmで、C3の同じく4015mm、1755mm、1590mmからは長さ以外も拡大しているし、ホイールベースは130mm伸ばされて2670mmになっているのに、同じように見える。

日本で販売されるBセグSUV、初の3列シート7人乗りとなる新型『シトロエンC3エアクロス』。
日本で販売されるBセグSUV、初の3列シート7人乗りとなる新型『シトロエンC3エアクロス』。    山本佳吾

でもさらに観察すると、フロントのエンブレムやヘッドランプは共通のように感じるものの、フロントフェンダーやフロントドアは別物だ。C3エアクロスのほうがフェンダーの張り出しは力強い。

背が高めながらハッチバックに見えるC3に対して、こちらはフロントバンパー周辺もゴツくなっていて、名前のとおりクロスオーバーらしさ、SUVらしさを強調していることが伝わってきた。

サイドでは、ウインドウの形状やドア下部のキャラクターラインは似ているけれど、リアドアは明らかに長くなっている。そして後方から回り込むようにして、小さなリアクォーターウインドウが設けられている。

後ろ姿は、C3エアクロスのほうが背が高くスクエアに近いプロポーションなので、フロントより識別しやすいが、それを強調するような造形にはなっていない。

C3の一員に見せつつ大きなキャビンを実現し、クロスオーバーっぽさもアピールしたテクニックは、デザインに興味がある人間としては、かなり感心する部分だった。

水平基調のインパネはとにかくシンプル

インテリアも前席まわりについては共通。水平基調のインパネは、奥のスリットにメーターを収めたこともあって、とにかくシンプルだ。でも表面をファブリック調にしていたりするので、冷たくはなく、むしろ温かみがある。『have fun』や『be cool』などのメッセージが書かれたドアトリムのオレンジのタグが、そこに遊び心を加えてくれる。

前席はC3に続いてシトロエン独自のアドバンストコンフォートシートを採用。日々いろいろなクルマを乗り換えている身だからこそ、ほっこりした着座感は心が和む。でもこのクルマの特等席は2列目かもしれない。

水平基調のインパネは、奥のスリットにメーターを収めたこともあって、とにかくシンプルだ。
水平基調のインパネは、奥のスリットにメーターを収めたこともあって、とにかくシンプルだ。    山本佳吾

こちらもアドバンストコンフォートシートであるうえに、ひざの前の空間はこのクラスの平均レベルであるものの、着座位置が高めで見晴しがいいうえに、頭上のスペースに余裕があって、このクラスのSUVとしてはとても広々しているからだ。

3列目は2列目をダブルフォールディングで畳んでアクセスすることになる。乗り降りのための空間は狭いけれど、身長170cmの僕はひざを立てて座ることになるものの、頭上は髪の毛が触れる程度で済む。短時間なら何とか座れるという感じだ。

いつもはこの3列目の背もたれを倒して、荷室が広めのコンパクトSUVとして使うのが良さそうだし、2列目も畳めば車中泊できそうなスペースも得られる。

そのためにシートの上に敷くボードも用意されている。普段は3列目の後方に畳んで格納しておき、広げて2列目の背もたれ背後に引っ掛けるだけという簡単な構造。工夫次第でいろいろな使い方ができそうなところを含めて、とてもフランスらしい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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