実車が先かおもちゃが先か? 新潟で出会った『模型でしか見たことのなかったクルマ』の話【長尾循の古今東西モデルカーよもやま話:第23回】

公開 : 2026.09.23 12:05

元モデル・カーズおよびカー・マガジン編集長である長尾循による、古今東西モデルカーに関する月イチのコラムです。第23回は、新潟のイベントで出会った『模型でしか見たことのなかったクルマ』の話です。

ホンモノのクルマがいない世界

『ニワトリが先か玉子が先か』みたいな話ですが、それをクルマ好きの子供にあてはめてみると『実車が先かおもちゃが先か』といったことになりましょうか。

ちなみに自分自身はどうだったかと振り返ってみると、やはりおもちゃが先だったかもしれません。というのも、両親や親戚にクルマの免許を持っている者がまるでいなかったこと。まだ、カローラやサニーが生まれるマイカー時代以前で、自宅が比較的街中にあって公共交通機関で用が足りていたこと。

今回は10年ほど前に衝動買いした、このプラモデルの話です。何だかわかりますか?
今回は10年ほど前に衝動買いした、このプラモデルの話です。何だかわかりますか?    長尾循

そういった諸々の理由が重なって、自分が子供の頃は身近で触れることができるホンモノのクルマがいない世界で暮らしていました。当時は図鑑や雑誌で見る写真とイラスト、そしてティントーイやミニカーなどのおもちゃが、憧れの自動車の全てだったのです。

そんな子供だったものですから、実車は見たことがなくてもモデルカーを通してなら知っているぞ、というクルマは徐々に増えていきました。小学校に入学する頃には「世の中に自分の知らないクルマなぞない」と思うほど。もちろん無敵感に溢れた無邪気な子供の勘違いです(笑)。

逆に還暦を過ぎた今では、次々に登場する新車の名前をなかなか覚えられず、さらに昔はよく知っていたクルマのことを忘れてたりするので、今や『世の中は自分の知らないクルマが増え続けている』という状態になっていますが……。

実車とモデルカーの間を行ったり来たり

ともあれ、そんな実車とモデルカーの間を行ったり来たりする日々は生活は大人になってからもあまり変わらず。そしてつい先日、今まで『模型でしか見たことのなかったクルマ』を実際にヒストリックカーイベントで見かけたので、今回はそんな話から。

さる9月13日、新潟県は糸魚川市で開催された『第35回日本海クラシックカーレビュー』。これは上信越、北陸エリアを代表する歴史あるイベントで、毎回100台以上もの粒ぞろいのヒストリックカーが集まることで有名です。

『ヴェロレックス・オスカー』あるいは『ヴェロックス16/250』と呼ばれるクルマに出会いました。
『ヴェロレックス・オスカー』あるいは『ヴェロックス16/250』と呼ばれるクルマに出会いました。    長尾循

毎回お馴染みの常連エントラント、そして初の参加となるフレッシュなクルマとオーナーがバランス良く集まった当日の会場で、一際目を引いたクルマがこちら。ご覧のとおり奇妙な姿のスリーホイラー、『ヴェロレックス・オスカー』あるいは『ヴェロックス16/250』と呼ばれるクルマです。

馴染みのない車名ですが、このクルマの生まれ故郷は東欧は旧チェコスロバキア。東西冷戦終結までは旧共産圏を代表する工業国として知られ、チェコとスロバキア、ふたつの国に別れた現在でも、スコダやタトラといった彼の地ゆかりの自動車メーカーは今なお盛業です。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    長尾循

    Jun Nagao

    1962年生まれ。企画室ネコ時代を知る最後の世代としてモデル・カーズとカー・マガジンの編集に携わったのち定年退職。子供の頃からの夢「クルマと模型で遊んで暮らす人生」を目指し(既に実践中か?)今なおフリーランスとして仕事に追われる日々。1985年に買ったスーパーセブンにいまだに乗り続けている進歩のない人。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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