フォード新CEO 「変革」目指し、駆け抜けた5カ月と描く未来とは インタビュー

公開 : 2017.11.12 17:10  更新 : 2017.12.14 12:31

「大成長という責務」を担うまで

わたしはスタッフやカメラマンとともに新しい本社ビルの外に立ち、ハケットがトランジット・レンジ・エクステンダーの実験車に乗って到着するのを待っている。

実験車は、発電機を回すための1ℓガソリン3気筒エンジンを積んだ電動バンだ。これは間違いなく生産モデルになる。

勢いよく現れた彼はちょっと時差ボケの様子われわれ多くの出迎えに一瞬たじろいだようだ。もちろん、彼はお祝いをされるためにきた訳ではない。

「CEOになるのは気が進まなかったんです」と彼は言う。「幸せのためにはCEOになる必要はなかった」

住み込みで働いているような朴訥な男。かつての大学フットボール・スターの面影はない。取締役会長のビル・フォードは、ハケットを「沈思黙考の男」あるいは「ドライビングの変容を経験したリーダー」と呼んでいる。

2006年にCEO職を辞したビルはチーフ・リクルーターに就任し、ボーイングで成功したアラン・ムラリーを引っ張ってきた。

ムラリーといえば「ワン・フォード」戦略を掲げた男。さらには2008年の政府の財政援助をうまく回避したことで、フォードはGMやクライスラーよりずっと早く成長路線に戻ることができ、会社は大きく成長した。

こうしてハケットは、大きな会社をより成長させる責務を負った。

多くの読者は最近辞任したCEO、マーク・フィールズのことを考えるだろう。彼がCEOの間、利益は数年にわたり最高となったが、新技術に対する取り組みは明らかにお粗末だった。

その間にフォードの株価はほぼ40%下がった。年間生産台数がわずか数千台で利益も出ていないテスラの株式時価総額よりも低くなったのだ。新聞の見出しはそう囃し立て、フィールズは辞任した。

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