お好みで柔軟にレストアできる魅力 アラード V8シリーズ【UK中古車ガイド】(1) 個性的なボディに頑丈なエンジン
公開 : 2026.09.27 17:45
フォードのV8エンジンを利用し、レースで優れた戦闘力を誇ったアラードのV8シリーズ。要望に応じた作りで仕様は多様な反面、柔軟にレストアできる魅力があります。UK編集部が往年のブランドをご紹介。
フォードのV8を利用し成功を掴んだアラード
パワフルなV8エンジンの可能性を引き出すべく、独立懸架サスペンションをフロントに備える、高剛性のシャシーを開発したシドニー・アラード氏。油圧ブレーキやダンパー
も採用し、多様なボディスタイルが展開され、モータースポーツで存在感を放った。
筋金入りのカーマニアといえたアラードは、1930年代にフォード・ディーラーを開業。そこで得た資金でレースへ情熱を傾け、フォードのシャシーやパワートレインを利用したオリジナルマシン、通称「スペシャル」を製作し、成功の階段を登っていった。

1949年の英国ヒルクライム選手権や、1952年のラリー・モンテカルロで優勝。1950年のル・マン24時間レースでは、3位で完走している。英国で人気だった、林間のオフロードで競うトライアル・レースでも、勝利を重ねた。自ら開発したスペシャルで。
戦時中は軍用車の修理に携わり、1945年にアラード・モーター社を創業。1946年にV8シリーズ第1号となる、2シーターのJタイプと4シーターのLタイプを発売する。エンジンは戦後に在庫が溢れていた、フォードの3.6L V8サイドバルブが選ばれた。
現オーナーの好みで柔軟にレストアできる
1949年にはJタイプの進化系、コイルスプリングを採用したドディオンアクスル・サスペンションのJ2が誕生。キャデラック由来の5.4L V8エンジンを搭載した仕様は、最高速度178km/hを記録している。0-97km/h加速も、7.4秒という俊足だった。
細かな改良が頻繁に重ねられ、顧客の要望へ細かく応じたため、V8シリーズのアラードは個体によって仕様や細部が異なる。新車時の姿への復元は簡単ではないが、現オーナーの好みで柔軟にレストアできるという側面もある。

個性的で現代的だったスタイリングの共通点といえるのが、ウォーターフォールと呼ばれた縦スリットのフロントグリルと、フェンダーへ埋め込まれたヘッドライトなど。当初はスポーツカーが中心だったが、サルーンも生産されている。
創業者の子孫、アラード家は、今でも技術関係の事業を継続。モータースポーツにも関わりを持ち続けている。英国のアラード・オーナーズクラブとも結びつきは深く、友好な雰囲気のコミュニティが、往年のブランドを所有する喜びを支えている。
オーナーの意見を聞いてみる
「自分が若かった頃、叔父が(アラードの)Lタイプを所有していたんです。昔からクラシックカーが好きでした。2009年に、このMタイプ・ドロップヘッド・クーペを近所で見つけたんですよ」。と振り返るのは、オーナーのチャールズ・ゴフ氏だ。
「1968年から路上は走っておらず、状態は悪かったですね。1台毎に仕様は異なり、このボディの場合は、スペアタイヤ用のプレートが荷室に備わります。標準のダンパーに加えて、アンドレ・ハートフォード社製の調整式ダンパーも組まれています」

「レースやラリーなどを戦った痕跡が、明らかにあります。フロントフェンダーは、アルミで再製作してもらいました。ネット動画を参考に、木製のボディフレームや、リアホイール・スパッツなどは自作しました」
「焼き付いていたエンジンは、フランス軍用だったV8ユニットへ置換しています。オプションだったツインキャブレターを載せたのは、妻の好みだからです」


























































































































