標準仕様を決めにくいほど十車十色 アラード V8シリーズ【UK中古車ガイド】(2) 世代を超えて受け継ぎたい魅力
公開 : 2026.09.27 17:50
フォードのV8エンジンを利用し、レースで優れた戦闘力を誇ったアラードのV8シリーズ。要望に応じた作りで仕様は多様な反面、柔軟にレストアできる魅力があります。UK編集部が往年のブランドをご紹介。
もくじ
ー要望に応じた作りで標準仕様は特定しにくい
ー現代のモデルに及ばずとも安定した操縦性
ー購入時に気をつけたいポイント
ーアラード V8シリーズのまとめ
ーアラード V8シリーズ(1946~1957年/英国仕様)のスペック
要望に応じた作りで標準仕様は特定しにくい
シドニー・アラード氏は、自らのレース資金を調達する目的で、クルマを販売したと公言している。しかし少量生産がゆえに採算性は低く、ライバルとの競争は厳しく、1950年代後半にはフォードのディーラー業へ専念していった。
1940年代当時、110km/hで巡航走行できるクルマは殆どなかったが、アラードのV8エンジン・シリーズなら可能だった。太いトルクのおかげで、目的地まで安楽に目指すことができた。程なくして、主要メーカーの技術の方が勝るようになるが。

顧客の要望に応じて作られ、標準仕様というものは特定しにくい。北米へ輸出された例は、現地でエンジンを搭載することが前提にもなっていた。レストアする際は、オーナーズクラブへ相談することをオススメしたい。
今回ご登場願ったアラードは、1947年に発売されたMタイプで、スタイリングの個性は比較的穏やか。後期型で、フロントグリルは小ぶりになっている。
現代のモデルに及ばずとも安定した操縦性
現存例の多くは、エンジンが換装されており、購入時は慎重に状態を見極める必要がある。現役時代に施されたチューニングが、クルマの価値を損なうことはほぼないだろう。性能が高い仕様の方が、評価も高いといえる。
主要なメカニズムに用いられる、アラード独自の部品は多くない。専用の部品は、オーナーズクラブが情報をアーカイブしている。フォード由来のV8エンジンは、ホッドロッド・マシンを得意とするサプライヤーなどから入手できる。

ブレーキやサスペンション、ステアリングは、良好な状態を保っていれば充分な性能を発揮する。現代のモデルには及ばなくても、安定した操縦性を楽しめるはず。
レストア前提の車両の場合は、オリジナルの部品が揃っていることが重要。たとえ部品の状態が酷くても、他の車両を参考に再現するより、遥かに作業量を抑えられる。
購入時に気をつけたいポイント
ボディとシャシー
コーチビルド・ボディは、個体毎に仕様が違う。スチール製フェンダーも、形状が一致しないことは珍しくない。シャシーは堅牢ながら、既に70年以上は経過している。歪みや腐食、過去の修理履歴などを確かめたい。
今回の車両のソフトトップは、オルドリッジ・トリミング社による再現品。標準仕様とは異なるものの、状態は良い方が乗りやすいことは間違いない。
エンジン

フォード社製のV8サイドバルブ・エンジンは、堅牢ながらオーバーヒートしやすい。写真のユニットは、フランス軍のトラック仕様がベースで、信頼性で勝る。オーナーにより、ボルボのファンとエキスパンションタンクが追加されている。
パワー不足や過剰なブローバイガス、オイルやクーラントの減り、バルブシート、エンジンブロックの亀裂などへ注意したい。チューニングすると、寿命は短くなりがち。
トランスミッションとアクスル
ギアの回転数を調整する、シンクロメッシュの具合を確かめたい。走行中に、2速でギアが抜けることがある。上級仕様には、コラムシフトが採用されていた。リアアクスルもフォードの流用だが、多くは過負荷状態にある。摩耗や異音に注意したい。
サスペンションとステアリング、ブレーキ
キングピンには、グリスアップが不可欠。ベアリングやジョイント、ステアリングラックなどの摩耗にも注意したい。ブレーキは油圧で強力だが、固着しがち。
インテリアと電気系統
メーターやスイッチ類、内装トリムなどはオーバーホールやリビルド可能。ボロボロでも、正しい状態へ戻せなくはない。今回のMタイプのシートも、見事に再生されている。反面、欠品部品の入手は難しい。
























































































































