ジープ・アベンジャー・フルエレクトリック(2) タフな見た目で運転しやすいシティコンパクト ブランドを新領域へ導く

公開 : 2026.09.28 18:10

ブランド活性化の使命を負う、ジープ・アベンジャーが小改良を受けました。機械的な変更はないものの、内装の質感は上昇。不満ないパワー感で運転しやすく、活発なシティコンパクトです。UK編集部が試乗します。

0-97km/h加速8.3秒と不満ないパワー感

2026年仕様として、小改良を受けたジープ・アベンジャー・フルエレクトリック。パワートレインに変更はなく、運転体験の変化は殆どないといえる。だが、アクセルペダルの反応は線形的で、デフォルトのドライブモードでもパワー感に不満はない。

最大トルクは26.4kg-mと太いが、駆動用バッテリーの特性が穏やかなこともあり、濡れた路面でもトラクション不足には至らない。0-97km/h加速は、スポーツ・モードを選べば9.0秒。実際のテストでは、8.3秒でこなしてみせた。

ジープ・アベンジャー・フルエレクトリック(欧州仕様)
ジープ・アベンジャー・フルエレクトリック(欧州仕様)

ただし、出だしは鋭いものの徐々に勢いは減じていき、同クラスで速い部類には入らない。英国でのライバル、MG 4 EVは7.1秒、スマート#1は5.6秒で加速する。

ブレーキペダルは、若干バネで戻されるような感触だが、上級ブランド以外のバッテリーEVでは珍しいものではない。回生ブレーキは自然で、Bモードで効きは強力になる。

運転しやすく活発なシティコンパクト

操縦性は、コンパクトクロスオーバーとしてはまとまりが良い。機敏に身をこなしつつ、安定性に優れる。道を選ばず運転しやすいことが、アベンジャー最大の強みだろう。

カーブでは小気味よく旋回し、シャシーバランスの良さも滲ませる。ペースの速い、郊外の幹線道路も難なくこなす。ジープ感の漂う見た目ながら、活発に走り回れるシティコンパクトとしての能力は高い。

ジープ・アベンジャー・フルエレクトリック(欧州仕様)
ジープ・アベンジャー・フルエレクトリック(欧州仕様)

ステアリングレシオはクイックすぎず、カーブが連続する道でも反応は直感的。興奮を誘うほどではないが、駆動用バッテリーの位置が生む重心の低さが効果的といえる。

手のひらへのフィードバックは薄く、切り始めに不自然な曖昧さは伴う。車重の軽いエンジン版アベンジャーと乗り比べると、340kgほど多い車重を実感することも否めない。それでも、運転を充分に楽しめる。

低速域では少々硬めな乗り心地

乗り心地は、低速域では少々硬めながら、概ね快適。小柄なモデルにありがちな、上下に細かく揺れるような素振りはなく、旋回時のボディロールが大きいわけでもない。日常的な環境で運転している限り、アベンジャーは扱いやすく心地良い。

不規則な凹凸では乗員が揺さぶられ、リアアクスルへ強い入力が加わると、ドシンと鋭い衝撃を伴う場面もある。だが、このクラスのモデルでは許容範囲だろう。静寂性は平均レベルだが、スクエアなボディの割に、風切り音は小さいようだ。

ジープ・アベンジャー・フルエレクトリック(欧州仕様)
ジープ・アベンジャー・フルエレクトリック(欧州仕様)

電費は、今回の試乗の平均で5.4km/kWhと、期待には届かず。カタログ上での航続距離は400kmだが、現実的には280kmほどと考えて良い。アクセルペダルを慎重に操れば、350kmへ届くことも可能なようだが。

急速充電は最大100kWまでと、同クラスでは遅め。実際に試したところ、80kWを超える時間は長くない。今回の小改良で、3.6kWの外部給電機能が追加された。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター

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