先進運転支援システム「ADAS」にメス 煩わしさ低減へ ユーロNCAP、欧州で安全試験を見直し
公開 : 2026.05.27 07:25
欧州の自動車安全評価機関であるユーロNCAPが、先進運転支援システム(ADAS)に関する試験の見直しを発表しました。実環境でのテストを始めるほか、各ドライバーに適応したシステムの導入も推進しています。
完全オフにするドライバーも
欧州の自動車安全評価機関であるユーロNCAPは、2020年代末までにひとりひとりのドライバーに合わせて調整できる新しい安全機能の導入を目指している。これにより先進運転支援システム(ADAS)に対する理解を高めるという。
2019年、欧州連合は一般安全規則2(GSR2)を導入した。これにより、2022年以降に発売されるすべての新型車および2024年以降に登録されるすべての車両へのADAS搭載が義務付けられた。インテリジェント・スピード・アシスタンス(ISA)、緊急車線維持支援(ELK)、自動緊急ブレーキ(AEB)などの装着が必須となっている。

しかし、ドライバーによるこれらのシステムへの評価はまちまちだ。自動車リスク分析会社サッチャム・リサーチが委託した調査によると、英国のドライバーの82%が、ADASが搭載されていると安心感が増すと回答。その一方で、4分の1近くがADASを、気が散る、煩わしい、あるいは過干渉だと感じており、その結果、一部のドライバーは機能を完全にオフにしている(車両の始動のたびにこの操作が必要であるにもかかわらず)という。
こうした懐疑的な見方に対応するため、ADASで次に求められるのは、各ドライバーに合わせて細かく調整できる能力だ。ユーロNCAPのADAS技術マネージャー、アドリアーノ・パラオ氏は、現在のシステムは過度に干渉していて不信感を招く恐れがあると説明した。
パラオ氏は、「ユーロNCAPはただADASをより良くしたいだけです。わたしはその実現を使命としています。これは根本的な転換点であり、メーカー各社にこのアプローチを取るよう促したい」と述べた。
さらなる知能化が必要
ユーロNSAPは新型車の衝突試験や安全評価を行うだけでなく、業界と連携して新しい安全技術の開発にも取り組んでいる。パラオ氏によると、ADAS変革の鍵となるのは「ドライバーの状態を理解する」能力だという。
「これが重要です。ドライバーの状態を理解できるようになれば、ADASをより良いものにできます」

例として、パラオ氏は車線維持支援システムを挙げた。カメラで路面標示を確認し、必要に応じてステアリング操作を行うことで、車両の位置を車線中央に保とうとするものだ。
「人間が車両を適切にコントロールしている時、車線維持支援はまったく役に立たないと考えています。自分の進路を修正されたくないのです。優れたドライバーモニタリングシステムなら、ドライバーが注意を払っているかどうかを把握し、必要な時だけADASが介入するようになるでしょう」
パラオ氏はまた、ドライバーの注意散漫の度合いを区別しないドライバーモニタリングシステムについても批判した。「システムが自分を見下していると感じさせる」可能性があるという。
「ドライバーには、ラジオを消したり車内温度を調整したりといった、正当な理由で注意が散漫になる場合があります。こうした行為に対してシステムが警告を出すべきではないのです」
シートベルト最適化、カメラ増設
ユーロNCAPは、乗員拘束装置のスマート化も推進している。パラオ氏の説明によると、乗員の体格や形状を検知するセンサーにより、拘束装置のロードリミッターが最適な介入を行えるようになるという。また、乗員に応じてエアバッグの膨張範囲や展開を制御し、その衝撃がより害の少ない形で分散されるようにする。
車内には、シートベルトの誤使用を検知するためのカメラも設置される。
「例えば、シートベルトが不快だと感じる一部のドライバーは、偽のバックルを使って警報システムを回避していますが、カメラがこれを検知し、音声による警告を発します」
「カメラを使用すれば、乗員がダッシュボードに足を乗せているかどうかも検知できますし、エアバッグとの距離も把握できます」


