テスラ「夢」限界? 時価総額は高止まり 裏腹につづく遅延、止まらぬ支出

公開 : 2018.02.04 06:10  更新 : 2018.02.04 09:55

揺れ株価と資金調達 ドイツの影 反対票は

これまでのところ、生産の遅れにもかかわらず、テスラの力強い株価と高い資金調達能力はびくともしていない。

テスラ・トラックとテスラ・ロードスター(生産場所の確保とR&D資金調達の問題にもかかわらず、ともに2020年にデビュー予定だった)の話が先行き不透明になったときでさえ、市場は動揺しなかった。

しかし、テスラがこれほどまでに人気を保ちつづけている理由は市場関係者にとっても謎のままだ。

事実、その他の自動車産業が到底かなわないような技術をテスラが生み出すわけではない。また、ジャガーI-PACE、アウディe-トロン、そして18カ月後にデビューするはずのポルシェ・ミッションEのようにプレミアム自動車メーカーが追い付いてきても、イーロン・マスクのテスラは大きなダメージを受けないと投資家は感じている。

あるアナリストはテスラの投資家にこのような危惧を伝えたが、全体的な反応は、テスラ・ブランドは圧倒的に強力なので競合他社のEVが市場に現れても全く怖くはないというものだった。

もし7月までに生産が軌道に乗り、モデル3の最初の人気がまだつづいているなら、テスラは間違いなく生き残ることができる。

現状では、テスラに残された時間は6カ月だ。プレミアムなライバルが登場する前に生産を軌道に乗せ、初期のモデル3に多発した生産品質の問題を解消しなければならない。

おそらく、テスラにとって最大の脅威は、既存の自動車メーカーの高精度で信頼性の高いクルマを製造する能力と経験豊かなディーラー・ネットワークだろう。

ポルシェとアウディのニューモデルに自動運転システムとクラウド・コネクティビティが搭載されれば、すぐにテスラを追い抜くだろう。

しかし、これまでの状況を見る限り、テスラへの投資が途切れる事態は起きそうもない。

財務的な重力に逆らいつづけている会社に、冷静に反対票を投じるのはどこだろうか。

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