「ロータリーを諦めない」という託された想い オーナー渡辺敏史が語るFD3S型マツダRX-7への愛(後編) 伝わってくる不思議な情念

公開 : 2026.08.11 11:50

FD3S型マツダ(アンフィニ)RX-7を四半世紀以上所有している渡辺敏史が、今や日本一有名になったサンライトシルバーの個体を取材します。2026年の目線で改めて触れたその印象は? 愛を持って語ります。

ルノーマルのシャシーに触るのは久し振り

西本尚子さんが長年乗られていたサンライトシルバーのRX-7は5型で、4型以前に対してバンパー形状が大きく変わり、開口部が大きく採られたことで冷却性能が高められたのが特徴となる。

エンジンは1型から続くシーケンシャルツインターボの13B-REWながら、タイプRやRSでは当時の自主規制枠いっぱいの280psまでパワーアップされた。が、この個体のグレードは265psのタイプRB Sパッケージとなっている。

日本一有名となったサンライトシルバーのRX-7を渡辺敏史が取材。
日本一有名となったサンライトシルバーのRX-7を渡辺敏史が取材。    山本佳吾

自分の6型はサスとホイールをハナッから換えてしまったため、フルノーマルのシャシーに触るのは久し振りだった。

RX-7の現役当時は他メーカーの銘柄も含めて、スタビリティもハンドリングも乗り心地も三方よし的な足まわりのセットアップを期待するのは難しい、言い換えれば何かを犠牲にするのがスポーツカーの常でもあった。

とりわけコーナリングへの期待値が高いことを自認していたマツダは、ロータリーの軽さや小ささを軸に、ともあれ運動性能推しでRX-7のキャラクターを際立てていく。反面、真っすぐ走っていても舵の据わりやリアの収まりが心許ない、路面状態に引っ張られやすい、そういうナーバスな一面がつきまとっていたように思う。

そこを巧くカバーしながらレブリミットアラームを鳴らしてエンジンをカチ回し、つづら折れを切り刻むようにスパスパと曲げていく、レーシングドライバーによるキレッキレの映像は今でもSNSでみることができる。が、そういう速さの最前線とは齢的にも線引できるようになった今、各部を労りながらノーマルシャシーに接すると感じるのはやはりクルマそのものの素性の良さだ。

レシプロとは一線を画する動き方

タイヤの横力やグリップに頼ることなく、舵の切り始めからじわっと向きを変えていく。舵の操作量に対するクルマの応答そのものは決してバキバキにクイックというわけではない。

節々のゴムものの変位が小さく、すうっと躊躇いなく骨で曲がっていくサマが伝わってくる。小さなマスが真ん中の低いところに置かれたロータリーならではの、レシプロとは一線を画する動き方だ。

個体のグレードは265psのタイプRB Sパッケージとなる。
個体のグレードは265psのタイプRB Sパッケージとなる。    山本佳吾

ここから更に踏んで負荷をかけていくと、自分のクルマでも味わったことのある不穏な動きが顔を出してくる一方で、それに対処すべくタイヤやサスや空力や……と外的な要素が変わることで動きのカミソリ度が二乗的に高まっていくのもRX-7の特徴だろう。

往時のスポーツモデルが現役の頃は、半ばイジられるのが前提で買われていたところもあって、こういう尖った個性がどうしても前に立って語られるものだ。が、改めてノーマルに乗ってみると、端折られつつあったこのクルマの落ち着いた一面がみえてくる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渡辺敏史

    Toshifumi Watanabe

    1967年生まれ。企画室ネコにて二輪・四輪誌の編集に携わった後、自動車ライターとしてフリーに。車歴の90%以上は中古車で、今までに購入した新車はJA11型スズキ・ジムニー(フルメタルドア)、NHW10型トヨタ・プリウス(人生唯一のミズテン買い)、FD3S型マツダRX-7の3台。現在はそのRX−7と中古の996型ポルシェ911を愛用中。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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